第42章 2月
「よかったじゃん!」
グーパーグーパー手を動かしたアリスは目を輝かせた。
『ありがとう緑間君!』
堅物の緑間が表情を柔らかく崩した。
「よし!じゃあさ、食後の腹ごなしにやっちゃう?」
近くにバスケ出来る場所があるんだ、と高尾は言った。
『やりたい!』
仕方ないな、と緑間も高尾の提案に頷いた。
幅広い年齢層が様々なアミューズメントを楽しめる複合エンターテイメント施設。
その中にある3on3コートに人集りが出来ていた。
緑間にやって貰ったテーピングがどの程度の効果があるのか試したかったアリスの為、最初は三人で遊んでいた。
そう、遊んでいた、のだ。
「なんだよお前等、そんな糞バスケして楽しいのか?」
隣のコートにいた連中にそう声を掛けられ、楽しく遊んでいた三人は表情を変えた。
「お兄さん達、それは酷い言い方じゃないですか?」
「酷い?そうか?」
あんなんで?と笑う男達。
くちゃくちゃとガムを噛む男や、あからさまにアメリカの柄の悪いストバスに影響されましたと言う様な格好の男。
ガタイはいい方だが、彼等が自分達よりもバスケが出来る様には見えない。
「ってかアンタさ。そんな糞とやって楽しいか?」
どうやら声をかけた本当の目的はアリスをナンパする事だったらしい。
『いいえ、ちょっと退屈してました。』
「だろうなぁ!」
アリスの返事に男達は一斉に笑う。
『だからお兄さん達、少し遊んで下さいよ。』
私達と、とアリスは綺麗な笑顔で言った。
結果がこの状態だ。
余裕だとあからさまに三人を見下していた男達は全く歯が立たない。
屋内のバスケコートで緑間がお得意の高弾道のスリーポイントを使えない上、三人とも私服で靴も普通のスニーカーというハンデがあるにも関わらず、試合開始15分で53対8。
『ダメですね、全く相手になりませんよ。』
これでもまだまだこちらは余裕なんだと言う様に、ポンポンとドリブルしながらアリスは溜息をついた。
ホークアイを使うまでもなく、むしろアリスの引き立て役程度にしか動いていない高尾も、なんだかガッカリだと零す。
「如月、高尾。もう帰るのだよ。」
もう十分に遊んだだろ、と呆れた様に言った緑間は汗すらかいていなかった。