第42章 2月
「じゃあ真ちゃん、テーピングについては何のアドバイスもなしなのか?」
「しないとは言っていないのだよ。」
『え?』
どちらにしろ、アリスのプレイスタイルをするならば知っておいて損はないだろう、と緑間は言った。
それを聞いたアリスはありがとう!と笑った。
食器が下げられ出来たスペース、そこに並様々な種類のテーピングテープ。
伸縮性の有無やテープの色や幅、そこに撥水加工があるものや、粘着力の強さ等、いくつも種類がある。
『これなら持ってるよ。』
アリスは伸縮性のある、よく見かける一般的なベージュのテープを手に取った。
「それはキネシオロジーテーピング用なのだよ。」
『きねしおろじー?』
人間の体の動きを研究する学問、人体運動機能学の事をキネシオロジーと言うのだよ、と緑間は言った。
筋肉の伸びを制限することで、痛みの緩和、予防をはかったり、筋肉の過剰伸びを防ぐことで怪我防止に使われたりする。
使用方法により疲労の回復も期待できるのだと緑間は説明してくれた。
「俺達がテーピングするって大半がこれだろ?」
「固定するが必要ない程度の怪我やその予防の場合はそうなのだよ。」
一言にテーピングって言っても色々あるのね、とアリスは感心する。
バスケを始めてから、『こうやると楽なんだよね』程度の思いでやっていた事や、実際に怪我をして病院で治療として施された事も、しっかりとそこに貼る根拠と理由があるのだと教わる。
『緑間君のは予防になるの?』
「そうなのだよ。あとは回復の目的もあるのだよ。」
あれだけのスリーポイントを的確に何本も打つのだから、相当な負荷がかかってしまうのだろう。
「だから如月の場合は、違和感を感じる指に伸縮性のあるタイプを使うといいのだよ。」
指を伸ばすときの方が違和感があると言ったアリスに、緑間が勧めたのは伸縮性のある幅の細いテープだった。
特に違和感が強いと言った左手の中指と薬指に試しに、と緑間はテーピングを施してくれた。
最近は白とベージュの他にもカラフルな物がたくさん出ており、特にこの幅のものは怪我予防の為にプロのアスリートもよく使用しているらしい。
だから日常的にファッションの一部の様に使用している人も多い。
「どうなのだよ?」
『凄い動かしやすい!』