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君と僕とが主人公LS

第42章 2月


『こう?』


正面に座っていた緑間に掌を差し出したアリスは、どうかな?と縋るような目をする。
先に異常がないとアリスが言った右手の指に触れた緑間は、自分のものに比べるとだいぶ小さく細い事に驚いた。次に左手に触れる。

「ちょっと真ちゃん、なんかヤラシー。」

「黙るのだよ。」


冷やかす様に言った高尾を緑間はギロッと睨む。
まぁまぁ、とアリスは苦笑いだ。
緑間に強い口調で注意される事に慣れている高尾は「真ちゃん怖ぁ〜い」なんて笑っていた。
注文した料理が届き、話は食事をしながらにしようとアリスは言った。
今もスパゲティを食べているアリスは、特に問題なくフォークとスプーンを使っている。
むしろその食べ方はとても綺麗で、指が思うように動かないとは思えない。
じーっとアリスの手元を見てしまっていた高尾に『食べる?』と彼女は笑う。
どうやら彼女の指ではなく、スパゲティを見ていたと思われたらしい。


「いやいや、違うよ。そんなに言う程なのかなぁって。」

『あー、そっちね。』


日常生活は問題ないのよ、とアリスは言った。
しかし、ボールを自在にコントロールしてフェイントをかけたりする事を得意としているアリスのバスケスタイルでは、指先のほんの少しの動きで変わってしまう。
それは緑間のスリーポイントシュートと同じ事だろう。


「俺は医師ではないし、これが正しいのかはわからないが。」

『うん。』

「思い込みじゃないのか?」

『え?』


さっき触れた感じでは特に違和感はなく、関節の可動範囲も問題はなかった。
それでもおかしいと感じるならば、それは幻肢痛の様な脳の勘違いが起こす障害の一種なのではないかと緑間は言った。
怪我をする前はこうだったはず、と思う思いが事実と離れてしまい、その差に違和感があるのではないだろうか、と。


「俺は如月が怪我をする前のプレイを見た事はないが、今とそんなに違うのか?」

『う〜ん、そう言われちゃうと…。』


使用していたボールの大きさが変わっていることや、ゴールポストの高さの違い、自分が相手をする選手達が当時とは違う事、それに実際にバスケから離れていた時間を考え、もう一度自分のプレイを見直して見たらどうかと緑間は言った。
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