第41章 1月 Ⅲ
「またこんな顔させてぇな。」
ふっと笑みを浮かべた青峰は、他の月バスの中にそれを戻す。
そしてまだ賑やかなリビングへと戻った。
ちょうど黒子の前にバスケットボールを模した大きなケーキが運ばれた所だった。
「「『誕生日おめでとう!』」」
せーの、と声を合わせてそう言ってクラッカーを鳴らす。
普段、あまり感情を顔に出さない黒子が照れた様に喜びに満ちた顔をしていた。
「嬉しいです、こんな…。」
最高の誕生日になりました、と黒子は言うとフーッと蝋燭を吹き消した。
全員に行き渡る様に切り分けられたケーキは、普通のそれより大分小さくなってしまった。
「アリスさん、凄く美味しいです。本当にありがとうございました。」
『ふーりと頑張ったからね!』
作ってよかった、とアリスも喜んだ。
一人、また一人と帰って行き、明日は練習試合が組まれているからと氷室と紫原も帰ってしまった。
しかし、彼等の相手チームの赤司はまだ和かに降旗や黒子と話をしている。
「じゃあ俺達もそろそろ帰るよ。」
誠凛二年生達が帰ってしまうと、急に寂しさが増した。
残っていた料理を綺麗に盛り付け直したり、食器の後片付けをしたり、火神とアリスが並んでキッチンに立つ。
すっかり外は暗くなっており、そろそろ自分達も帰る、と高尾は少し残念そうに言った。
『あ!緑間君、今度ちょっと付き合って貰えないかな?』
「えー?!真ちゃんだけ?」
『高尾君が一緒でもいいよ。』
玄関まで二人の見送りに出たアリスは、相変わらずの高尾のチャラチャラした態度にクスクス笑った。
「なんなのだよ?」
今度と言わず、今言ったらいいと緑間はジッとアリスを見た。
『暇な時でいいの。だからオフの時にでも連絡して。』
「…わかった。」
行くぞ、とまだ名残惜しいと歩き出さない高尾を急かす。
きっとあの、不思議乗り物で帰るのだろう。
またね、と手を振るアリスに、エレベーターのドアが閉まるまで高尾は手を振り返していた。
リビングに戻ると、黄瀬と青峰は本気で対戦ゲームに夢中になっており、それを桃井と黒子が面白がって見ていた。
誠凛一年トリオは、俺達もそろそろ帰るよ、とコートやジャンバーを手にしている。
『セイ君は今夜はホテル?』