第41章 1月 Ⅲ
数週間、同じジュニアハイスクールに短期留学で来ていた赤司征十郎は今の彼だった。
「まぁ、そうだね。確かに君と初めて会ったのはオレだったからね。」
『セイ君、ですよね?』
「あぁ、覚えていて貰えて嬉しいよ。」
ニコッと微笑む赤司には、ウインターカップで感じた冷たさは全く残ってはいなかった。
「また会いたいと思っていたんだ。君のトリックプレイもまた見たいからね。」
それぞれが楽しく話したり、料理を味わったり。普段は同じ席を共にする事などない顔合わせだが、全員バスケで繋がっている。
「赤司っちばっかりズルいっスよ、俺もアリスっちとおしゃべりしたいっス!」
ジュースの入ったコップを手に、まるでほろ酔い気分の様なテンションで黄瀬がアリスに後ろから抱きついた。
もう、とそれを強く拒否する事もなく、仕方がないと受け入れてしまう。
「黄瀬、お前は空気が読めないのか、読まないのか?」
『読めないんじゃないかな、たぶん。』
二人とも酷いっスと泣き真似をする黄瀬が離れた隙に、アリスは赤司にまた、と伝え中座する。
賑やかなリビングを出て、トイレに向かったのだ。
黒子の誕生日パーティーなのに、こんなに自分が楽しくていいのだろうかと思いながら、洗面所で手を洗う。
「先約ってこれだったのかよ。」
『青峰君こそ、ストバスってキセキのみんなとだったんだね。』
だから練習してたんだ、とアリスは笑う。
かつてのチームメイト達は、青峰が本気を出せる数少ないプレイヤー達だ。彼がワクワクしてしまうのも理解できる。
『楽しかったみたいだね。ストバス。』
手を拭きながら言ったアリスに、青峰はどこか苛立っている様な表情を向ける。
「別に。つかよ、赤司とも面識あんのかよ、お前。」
『中学の時にちょっとだけね。』
日本のバスケ強豪校から短期留学で来た日本人は、当時話題になった。バンダースナッチと勝負したらどちらが勝つのか、と。
即席のチームでは赤司も実力の半分程度しか出せなかっただろうし、実際には試合はなかった。
しかし、赤司をゲストプレイヤーに入れたバンダースナッチは強かった。
「なんかムカつくな、俺の知らないお前を赤司は知ってんだろ。」
『そうだね、一番ノリノリだった頃の私を知ってるね。』