第41章 1月 Ⅲ
降旗はそっと崩れない様にスポンジをラップで包み、予め用意しておいた箱に入れる。
その間にアリスは生クリームやチョコレートをバスケットに詰めていた。
時計は既に14時を過ぎている。
パーティ開始は16時。
『私、着替えて来るね。』
粉だらけのエプロンを外したアリスは、バタバタと自室へと駆け上がった。
火神のマンションに着いた二人は、思いもよらない面子が増えている事に驚いた。
誠凛の先輩達は誘っていたが、氷室と高尾までがそこにはいたのだ。
『タツヤ!なんで?』
「タイガに誘われたんだ、たまたまこっちに来ていたからね。」
これは嬉しい誤算だ、とアリスは大喜び。こんな事ならアレックスも旅行に行く日を変えればよかったのに、と零す。
既にテーブルには火神と氷室が腕を振るった料理が並んでおり、リビングにはカラフルな飾りもいっぱい付いていた。
「なんか場違いかなぁ…って思ってたけど、アリスちゃんに会えたしラッキーだったな。」
『高尾君はどうして?』
僕が誘ったんだ、と氷室が笑う。
なんでも火神のマンションを探して迷子になっていたところを助けて貰ったらしい。
兎に角、祝いのパーティーなんだから賑やかな方がいいだろ、と火神もそれを歓迎していた。
先輩達もやってきて、後は主役の黒子を待つばかり。
人数も増えて賑やかになる室内に、インターホンが響いた。
まだ、キッチンで火神とアリスはケーキのデコレーションをしており、降旗が代わりに対応に出て行く。
「うわぁ!」
悲鳴の様な彼の声に来客は黒子ではなかったのか?と火神が対応に出ようとした。
『青峰君!』
「俺もいるっスよ〜!」
「なっ?!何でお前等が…。」
キセキの世代勢揃いには、流石にその場にいた全員が目を丸くした。
「友達、連れてきました。」
ダメでしたか?と最後に顔を出した本日の主役に、火神とアリスは揃って言った。
『「大歓迎!」』
そして始まる黒子の誕生日パーティー。
予定していた人数よりもだいぶ賑やかになって、少し窮屈な感じもしたが、それすらも楽しいと思えてしまう。
「1ヶ月ぶりだね。」
『なんだか雰囲気変わりました?』
今の赤司君なら知っている、とアリスは言った。