第40章 1月 II
「そうです!アリスさんの居場所はここじゃない!」
もう片方の腕を黒子が掴んだ。
『男子部に入れって事?』
他にないだろ、と強く言い切った火神はそのまま彼女の腕を引いて自分達の練習場へと向かおうとする。
『待って、待ってよ!でもそんなイレギュラー簡単に許されるものじゃないでしょ?』
だから僕も一緒に頼みます、と黒子も強く言った。
どうやら二人は本気でアリスを仲間に迎え入れる気なのだと察した彼女は、抵抗を止める。
「例え公式戦に出られなくても、それをお前に我慢させる事になっても。それでも俺はお前と同じコートでバスケがしてぇ!」
悪りぃな、と火神は笑った。
『…ありがとう。』
アリスは小さく呟いた。
事は当人が考えていたよりも簡単に進んだ。
表向きは男子バスケ部のマネージャーだが、部員全員が彼女が練習に参加する事を歓迎したのだ。
「勿論、アリスちゃんにも手加減はしないわよ!」
男子部員達と同じメニューをこなして貰うからねと言った相田に、アリスは満面の笑みで頷いた。
すぐに新人戦、新入生が入ったら次のインターハイ予選が始まる。
新たにアリスを仲間に迎えた誠凛バスケ部は、新たなスタートを切った。
それから数日、すっかり授業と練習の日常が戻った。
「タイガ、私は一度向こう(アメリカ)に帰るよ。」
「なんだよ急に。いつ帰んだよ?」
「まだはっきり決めてないが、木吉の事もあるからな。」
火神の作った夕食を食べながらアレックスは言った。
だから近いうちにアリスにも会っておきたい、と。
本当は氷室にも会っておきたいが、彼は東京からは遠い秋田の学校にいる。
ちょっと週末に会いに来いと言える距離ではないから、観光旅行を兼ねてそのうち自分から会いに行ってくるとアレックスは言った。
「オンセンってのに入ってみたいからな。」
既に予約したんだ、とアレックスは嬉しそうに観光ブックを見せる。
「なぁ、アレックス。アリスって確かバスケの利き手、左だったよな?」
「得意なのは左だったな。」
左右どちらでも自在にボールを扱える事は基本だが、それでもどちらかに得意が出るものだ。