第40章 1月 II
「俺、ランニングついでに覗いて来る!」
僕も行きます、と火神と黒子は走り出した。
ちょっと!とそんな二人を相田は呼び止めたが、その声は届いていない。
ワンワン!と走り出した二人の後を2号までもが尻尾を振って追いかけて行く。
「日向君、どう思う?」
「どうって言われてもなぁ。」
「それはアリスちゃん自身が決める事だろ。弱小チームだから入らないってのはちょっと偏った考えだと俺は思うな。」
転がったボールを追いかけながらこちらに来た木吉はそう言った。
確かに彼女はそれを理由に入らないとは言わないだろう。
けれど、彼女の凄さを垣間見て知っているからこそ、勿体ないと思ってしまう。
もし、彼女が男だったら間違いなくキセキの世代のプレイヤー達を脅かす存在になっていたに違いない。
むしろ女子で、ブランクがある今の彼女だってちゃんとバスケをやり始めたら脅威的な存在になるはず。
「これは私の希望になっちゃうけど、これからの成長にはアリスちゃんの力を本格的に借りたいのよ。」
「確かにな、本場仕込みのプレイスタイルからは学ぶ事が多いよ。」
まさか、第一体育館でそんな話がされているとは思っても居なかっただろうアリスは、ガランとした第二体育館に佇んでいた。
もしかしたらこうなのではないかと思ってはいたが、あまりにもそのまま過ぎてショックよりも可笑しくなってしまう。
たまたま今日が休みなだけかもしれないと、用具室を覗いてみたらそこには薄汚れたボールがあるだけ。
きちんと手入れもされていないし、使われている形跡もない。
『…参ったなぁ。』
体育館自体、埃が漂っているのが光の中に見える程だ。
「アリス!」
『タイガ?』
大股で近付いて来た火神にどうしたの?とアリスは驚く。
「来いよ、一緒に!」
『え?』
「僕からも監督に頼んでみます!」
黒子もいたのか、とアリスは初めて彼の存在に驚いていた。
何故か必死な表情の二人に、状況がイマイチ飲み込めない。何をそんなに火神と黒子が真剣なのかすらわからない。
『ちょ、どうしたの?』
「だから!」
アリスの腕をしっかりと掴んだ火神は真っ直ぐに彼女を見下ろす。
「俺達とやりゃいいだろ!」