第40章 1月 II
始業式が始まるまではそのままにしておこう、と二人は言葉は無く会話を交わした。
『ねぇ、ウチ(誠凛)って女子バスケは強いの?』
おはよう、と声をかけてくれたクラスメイトの女子を呼び止めたアリスは、どうやら今日にでも女子バスケ部の見学に行くつもりらしい。
本当にバスケをやり直す事を決めたんだと、黒子はどこか嬉しそうにそんな様子を見ていた。
「どうだったかなぁ?」
「男子はなんか優勝したらしいよね!」
そうそう!とウインターカップ優勝の話にそれてしまい、アリスは苦笑いだ。
これは自分で直接見に行った方がいいな、と放課後に女子バスケ部の練習場になっている第二体育館へ行く事にした。
「ちーっす!」
結局、始業式に参加せずそのまま教室でぐっすり睡眠をとった火神は復活。いつもの元気で体育館に顔を出した。
先に来ていた二年生達は既に各自がアップに入っており、邪魔にならない場所に荷物を放った火神もそこに混ざる。
「あら?今日はアリスちゃんは一緒じゃないの?」
仕方がないなぁ、と火神の荷物を拾い自分の物と一緒にきちんと片付けていた黒子に気が付いた相田は言った。
今までならばそれは彼女がやっていたのに、今日はその姿がない。
「アリスさんは第二体育館に行きました。」
「第二?なんで?」
そんな所にどうしてアリスが行く用事があるのか、と相田は首をかしげる。
「女バスの見学に行ったんだ…ですよ。」
未だに言い慣れない敬語。
しかし、相田が表情を歪めた理由はそれではなかった。
「…大丈夫かしら。」
何が?と火神と黒子の視線が言う。
「ウチ(誠凛)は女子バスケ部、名前があるだけの部だぞ。」
そう言ったのは日向だった。
だからきっと、今、第二体育館に行っても練習はしていないだろうし、もし、仮にまじめに練習している部員がいたとしても、とても彼女が混ざれるレベルではないらしい。
バスケをやろうと思うならこっちに来てくれればいいのに、と相田は零した。
公式戦には出られなくとも、相手の了承を得られれば練習試合にはミックスチームで出る事は可能だ。
それに奢りではないが、ウインターカップ優勝チームに関わっていた方が彼女にとっても有益な事が多いはず。
「ちょっと心配になってきました。」