第40章 1月 II
飛び込むアリスをしっかりと受け止め受け入れた誠凛バスケ部のみんなは、優勝出来たのはアリスの力もあったからだと彼女に言った。
だからこれからも自分達と一緒にバスケをやろう、と。
その言葉は、どうしても踏み出せなかったアリスの最期の一歩を進ませた。
『無事に進級出来たら私もちゃんと決めるつもりなの。』
「え?」
「女バスに入るのか?」
『新学期になったら見学しに行こうと思ってるんだ。』
だから練習には行けなくなるかもね、とアリスは少し恥ずかしそうに笑った。
とりあえず最低限の宿題を終わらせる事が出来たのは、終電ギリギリの時間だった。
明日、学校で!と挨拶をして慌てて駅に向かう二人を見送ったアリスは玄関の靴箱の上に置かれた真新しいバッシュに目を向けた。
それは本格的にやるならそれもちゃんとした物を用意するべきだと、克哉が買ってくれたもの。
そして後から聞いたのだが、彼女の母親が好きだったメーカーのものだと話を聞いた。
『パパ、ママ…。もう一度だけ、頑張ってみるね。』
だから見守ってね、とそっとそれに触れながら呟いた。
翌朝、久しぶりに誠凛高校の制服に身を包み家を出た。
宿題のテキストの他に、あのバッシュも忘れずにバッグに入れた。
これからは荷物も増えるだろうと、スポーツバッグも買ってはあるが、まだ、それを使う程ではない。
空気は冷たいが天気はいい。
マフラーで口元まで覆って、足早に駅へと向かう。
出勤途中のサラリーマンにOLさん、学生も多い。それは駅に近付く程に増えていく。
そんな人の中に青峰と桃井の姿もあったが、アリスは声をかけなかった。彼等と自分は方向が逆。
それに二人は楽しそうに話していたから、邪魔をしてはいけないと思ったのだ。
「おはよー!」
誠凛高校の教室に戻れば、見知ったクラスメイト達から声を掛けられた。
二週間ちょっとの休みだったのに、その間に色々な事があり過ぎたせいか、この当たり前の日常に違和感を感じてしまう。
制服姿の火神と黒子も久しぶりだ。
「おはようございます、アリスさん。」
『おはよう、黒子君。』
火神はもう机に突っ伏して寝ている。
どうやらあの後、帰宅してからも終わらない宿題を頑張ったのだろう。