第40章 1月 II
正月モードも終わり、賑やかだった如月家も静かになった。克哉のクリスマス休暇も終わり、また向こうに戻ってしまったのだ。
散々戻りたくない、仕事辞める、と子供みたいな駄々をこねた克哉だったが、『ちゃんと戻って仕事を片付けてくれば、帰国出来るんでしょ?』とアリスに諭され、泣き泣きタクシーに乗った。
『…で、二人ともどうかしたの?』
明日から始まる学校の準備を済ませたアリスが、夕飯の買い物に行こうとしたら、申し訳なさそうな顔の火神と黒子に遭遇した。
「あのよ、アリス。宿題、うつさせてくれ!」
ウインターカップに全力集中で、火神は冬休みの宿題に全く手をつけて居なかったらしい。
確かに試合のない時間は少しの間でも練習に励んで居た二人を知っている。
けれど決勝後にはいくらでもやる時間はあったはずだ。
「すみませんアリスさん、僕一人では間に合いそうになくて。」
黒子はそれなりにちゃんと終わらせていたらしいが、火神のそれは真っ白。
休み明けすぐに行われるテストの結果と宿題の評価は進級にストレートに響く。それに来年度の新しいクラス分けにも。
『もう一度一年生すればいいじゃない?』
「留年したら部活は出来ません。」
『そうなの?』
新設間もない誠凛高校は、部活動より学力向上に重きを置いている。
だから仮に留年する様な事になれば、その生徒の部活動は禁止されてしまうのだ。
「頼む!助けてくれ!」
『…仕方ないね。』
黒子と手分けして代わりにできるものを片付けてゆく。
その間、火神はアリスのテキストを必死に書き写していた。
英語のテキストは自分だけでも片付けられるが、現国や社会は未だに読めない漢字の多い火神一人ではどうしようもないらしく、まんまアリスの回答を写していた。
「そう言えばアリスさん、新学期からも練習来ますよね?」
黒子の問いに、アリスは思い詰めた様な顔をした。
ウインターカップ優勝後、誠凛の控え室に向かったアリスはドアの前まで来て、それを明けられずにいた。
しかし、それはあっさりと彼等の方から開けられたのだ。
『おめでとう、みんな!』