第39章 新年 1月
いつまでも睨み合いをしていた二人だったが、最終的には青峰の母親に揃って追い出されてしまった。
そんなに元気が有り余っているなら発散して来い、と彼等と一緒にボールまで。
「…しゃーねーな、相手してやる。」
ついてこい、と青峰はボールを手に近所の公園へと向かった。
綺麗に着付けをしてもらい、和装に合わせた髪型にまで結い上げてもらった。
夏の浴衣とは違い、振袖は真冬の今でも室内では暑いぐらいだ。
「本当、二人とも可愛いわ!」
青峰の母親は目をキラキラ輝かせる。
『ありがとうございます!』
「ありがとう、おばさま。」
いいのよ、と自分の着付けた自慢の娘達の写真を撮らせてくれ、とスマホを向ける。
見違えたな、とはしゃぐ声に顔を出した青峰の父親も可愛い二人に思わず笑みを浮かべる。
「じゃあ行ってきます!」
『お邪魔しました!』
二人を見送る青峰の母親は、実の息子を追い出したままだということなどすっかり忘れてしまっていた。
「かがみん、どこにいるって?」
青峰家を出てから、アリスと一緒に来ていた火神の姿がない事に気づいた桃井は、彼女に連絡しなくていいのか?と聞いた。
それを言われて『あ!』と苦笑いを浮かべながらスマホを操作する。
どうやらアリスも火神と一緒だった事をすっかり忘れていたらしい。
LINEを送っても既読にならず、仕方なく電話をかける。
それすらもなかなか応答に出ず、もう切ってしまおうかと思った頃、やっと通話開始のカウントアップが画面に表示された。
『タイガ、今どこ?』
「青峰んちの近くの公園でバスケやってた。」
だからなかなか出なかった上に、やっと出たと思ったらそんなに息が荒いのか、と呆れてしまう。
新年早々に公園でストバスしてるなんて、と。
『今からさつきちゃんと初詣に行くけど、タイガはどうする?』
「あー、俺は…。」
そこで声が途切れてしまう。
今度はなんだ?と表情を歪めるアリスの隣では、桃井が声を殺して笑っていた。
スマホの画面に気を取られまだ気が付いていないアリス。
神社に向かう道の途中に、その公園がある事をきっと彼女は知らなかったのだろう。
フェンス越しにこっちを見て棒立ちする二人を桃井は先に見つけていたのだ。
『ちょっと、タイガ?!』