第38章 WC Ⅳ
聞かれたアリスは今から見る三位決定戦に出てくるよ、と嬉しそうに話した。
凄いスリーポイント打つんだから、と自分の事の様にアリスは話した。
会場前で見知った顔を何人も見かけた。
それだけこの試合は注目されていて、勝負の行方が読めない。
けれど今日はアリスは初めて全力で誠凛を、火神と黒子の事だけを応援する事が出来る。
だから今まで漠然と感じていた不安の様な感情は全くなかった。
「そういえば、パパがママと出会ったのもウインターカップだったなぁ。」
『え?』
「ライバル校のマネージャーだったんだ、ママは。それにパパが一目惚れ。」
なんとなく、母親の話を避けてしまっていたから、克哉の方から話題が出た事に驚いてしまう。
アリスはあまり自分の記憶に無い母親の話を聞けるのはとても嬉しい。
写真が残っているから顔は知っている、けれどその優しそうな母親はどんな声で自分を呼んでくれていたのかわからない。
『ママもバスケやってたの?』
「あぁ!マネージャーをしながらも彼女自身もそこそこのプレイヤーだったよ。」
『そうだったんだ。』
克哉がバスケをしていた事は知っていたし、そもそも自分がバスケを始めたのも彼の影響だった。
「アリスのすばしっこいスタイルはママにそっくりだよ。」
克哉はそう言うとアリスの頭をグリグリと撫でた。
気が付かないうちに、自然に母親と同じ事をしていたのだと知ったアリスは至極嬉しそうだ。
海常と秀徳の試合は前半が終わりインターバルに入った。
両校の選手が控え室に戻るのと交代で、洛山と誠凛の選手達がコートに出て来た。
『タイガー!黒子くーん!』
騒めく会場にアリスの声が響く。
周囲からの目を気にする事なく、アリスは誠凛にエールを送った。
『Absolutely win!』(絶対に勝って!)
「fight! You will definitely do it!! Taiga!!」(頑張れ!お前なら出来る!!タイガ!!)
それでなくてもハーフでガタイの良い克哉は目立っていたのに、娘と同じハイテンションでエールを送ると満員に入っている観客達の中で二人が特別目立ってしまった。
観戦に来ていた彼女を知る人達とそのチームメイト達もそれに気が付く。