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君と僕とが主人公LS

第37章 WC Ⅲ


昨日の試合では、人目を気にすることもなく大声で声援を送ってしまう程、彼女は黄瀬の事も大切な人だと思っている。
だから今日はどちらも応援したいし、どちらも応援出来ない。
ただ願うのはどちらにも悔いの残らない試合になって欲しい、それだけだ。


『でもね。本当はちょっとだけ涼太が心配。』


応急処置をしっかりしていたとしても、昨日の今日で足の状態が回復しているとは思えない。
けれどきっと黄瀬は無理をする。
この試合が彼等にとって大事な試合だと分かってはいるが、無理をして自分の様にはなって欲しくはない。


「もう少しあるけど、食べる?」

『いいの?』

「敦、そんなにアリスが気に入ったのか?」


だってアリスちん可愛いじゃない、と紫原はニコっと笑い彼女の頭にそっと手を乗せた。
フロアの整備が終わり、誠凛と海常のメンバーが出て来て双方最後の調整をしている。
先に仕掛けたのは黄瀬で、まだザワザワしていた会場に激しくダンクを決めた音を響かせた。


「大丈夫そうじゃない?彼。」


でもタイガの方も元気みたいだね、と氷室は笑った。
試合開始早々に、黄瀬はパーフェクトコピー発動で大量得点をあげた。
きっとこの試合展開は誠凛が考えていたモノとは違うだろう。
点差を一気につけられてしまったが、何故かこの試合は今までの他の試合に比べると安心して見ていられる。


『私ね、誠凛に入って最初にバスケに関わったのが海常との練習試合だったの。』

「へぇ、そうなんだ。」


だから思い入れがあるのかも、とアリスは言った。
黄瀬の負傷交代。黒子のファントムシュートは笠松に破られた。


『…涼太。』


この状況で前半はドローで一旦幕が下りた。
そして彼女が最初に口にしたのは自分の通う誠凛ではなく、海常の黄瀬の名前だった。


「大丈夫だよ。選手生命がかかるような負傷なら、最初から出てないさ。」


そんな彼女の心情を察した氷室は優しく言った。
それは確かに氷室の言う通りなのだけれど、それでもアリスは安心出来ない。
後半がスタートして、黒子と黄瀬はベンチスタート。
黒子がベンチに下がるのは作戦のうちだろうが黄瀬は違う。
ベンチに座る大きな背中が小さく見える。
それは初めてアリスが黄瀬と出会ったあの練習試合の後と同じだ。


『…涼太。』
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