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君と僕とが主人公LS

第36章 WC II


とても勝てると言える様な試合内容ではない。


「木吉さん、大丈夫かしら。」


桃井の小さな呟きは歓声に飲まれていた。
思い詰めた様な顔のアリスとは真逆に、克哉は至極楽しそうな表情で試合を見ていた。


「タイガと黒子君のチームはいいチームだなぁ。」


彼等と出会えたからきっと一度折れてしまったアリスもまた、立ち上がる事が出来たのだろう。
本当は娘だけを一人、日本に帰す事は不安で仕方がなかった。
しかし、あのままロスにいたらきっとアリスはそのまま、中身のない人形の様になってしまっただろう。
大好きなバスケを失い、初めて愛した人に裏切られた。
その傷を少しでも癒せるならば、と日本に帰してよかった。
だが、誠凛の試合の方はとても笑って見てられる状態ではなくなってきていた。


「…あ?」


不意にアリスは青峰を見て微笑んだ。
どうやら火神がゾーン状態に入った事がわかったらしい。


『青峰君に見えた、って言ったら怒る?』

「もう言ってんじゃねぇかよ。」


えへへ、とアリスは笑った。
残り三分4点差。流れは誠凛に変わってきている。
しかし、負けたくない、勝ちたい、という意思はどちらのチームも強い。
しかし、勝負は必ずつく。終わらない試合はない。
終了のブザーが鳴り、歓声が会場を揺らす。


「このまま涼太君の試合も見ていくのかい?」

『パパは?』

「面白い試合を見れたからもう満足だ。」


それに遅くなってもダイキが送って来てくれるだろう?と克哉はニッコリ笑って青峰にウインクをした。
いくらアメリカンな親子だと言えど、娘を男にホイホイと預けていいのか?と青峰の方が渋い顔をする。
それは彼がそう考えるからこそ、娘を預けても大丈夫だと思っている克哉の方が上手だ。
そんな言葉には出さないやり取りが交わされてるとは微塵も思っていないのだろうアリスは、まだ興奮冷めない誠凛ベンチにブンブン手を振っていた。


「行ってやんなくていいのかよ?」


試合が終わるとみんなそう言うのね、といつもならば苦笑いで返すアリスだが、今回は違った。
行ってくる!と素直に彼等の所へと向かって走ったのだ。


「あららぁ、大ちゃん見え張っちゃって。」

「…っぅるせぇよ。」
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