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君と僕とが主人公LS

第34章 クリスマスイヴ II


並んで帰って行く後ろ姿に、アリスは元気にそう言って手を振った。
部屋に戻ると克哉が青峰にそっと毛布を掛けていた。


「昨日、ダイキも試合だったんだろ?」

『うん、負けちゃったけどね。』


起こさない様に二人は小声で話していた。
きっと心身ともにとても疲れていたんだろう、と克哉は微笑ましいと笑う。
本当は寝室でベッドで寝かせてやりたいが、二階に運ぶことは難しい。
幸い、寝入ってしまっているのがソファーで良かったのかもしれない。


『きっと青峰君、負ける事が久しぶり過ぎて凄く疲れちゃったんだよ。』

「まぁ、わからなくもないな。」


寝てる顔は昔と変わらないな、と克哉は笑った。
数時間後、不意の尿意に青峰は目を覚ました。
薄暗い室内は自分の部屋よりもはるかに広く、ぼんやりしていた頭が一瞬で覚醒した。


「…どこだ、ここ。」

『寒い〜。』

「あぁ、ワリィ…?!」


体を起こした事で一緒に布団が持ち上がった。
そのせいで入り込んだ空気に、一緒に寝ていた彼女は寝惚けながら毛布を引き寄せる。
目を覚ましたきっかけだった尿意も分からなくなる程に動揺してしまう。
なぜ、アリスが一緒に寝ていたのだろうか。


「…どーなってんだよ、これ。」


必死に記憶の糸を手繰り寄せる。
黒子に呼び出された先にはアリスもいて、シュートを教えて欲しいと言われた。
黒子とアリスの執念に負けて、黒子のシュート練習に付き合った。
それからアリスを自宅まで送って、黄瀬に会って、火神に会った。
段々と蘇ってくる記憶。
誘われるまま、如月家のクリスマスパーティーに参加した所までは記憶があった。
しかし、それは途中でぷっつり途切れてしまう。


『…もう、寒いってば。』


どうやら毛布だけでは足りなかったらしく、アリスも目を覚ましてしまう。


「なんで俺、ここにいるんだ?」


寝惚けてるの?と眠そうな顔でアリスは言った。
余程彼女の方が寝惚けていそうな顔だ。


『なんでって。ご飯食べたら寝ちゃったからでしょ。』

「だからなんで?」

『昨日、眠れなかったんでしょ?』


本当ならちゃんとベッドでゆっくり休む方がいいだろうけど、パパと私では運べなかったとアリスは言った。
ここは如月家のリビング。
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