第33章 クリスマス イヴ
「Today. It's Christmas, I want to spend time with my beloved children.」
(今日だよ。愛する子供達とクリスマスを過ごしたいからね。)
ここ、日本っスよね?と不安そうな顔で青峰に小声で聞く黄瀬に、「ここじゃ普通だぞ」と一言。
初めてアリスの父親と会った時もこんな感じだった、と青峰は思い出していた。
だが、今、アリスと親しげに話している中年男性は克哉ではない。
「What are you doing? The door is open and it is cold…ってお前等!!」
(何やってんだよ?開けっ放しで寒いだろ。)
奥から顔を出したのは火神は自分の父親に抱きしめられているアリスと、その後ろに見知った顔がある事に気づいて表情を引きつらせた。
『タイガ!練習は?』
「親父が帰って来ちまったから今夜は早く終わらせたんだ。ってか!なんで青峰と黄瀬がいんだよ!」
黒子の事は連れてくるかもとは思っていたが、まさかの二人に火神は思い切り嫌そうな顔。
『私が誘ったの。』
上がって、と二人に振り向いたアリスは火神とは真逆に満面の笑みだった。
ここはアリスのアパート、彼女が歓迎している以上、いくら火神が嫌がっても帰れとは言えない。
「お邪魔しまぁ〜す!」
黄瀬はニコニコ顔で二度目のアリスの家に上がった。
「おかえり、アリス。お友達も一緒かい?」
『紹介するね、黄瀬涼太君。』
「はじめましてっス、おとーさん。」
黄瀬の人懐っこさは健在で、すぐに初対面の克哉とも打ち解けている。
180センチ超えの男性が五人も揃うと、いつもは広すぎると感じるリビングがちょっと狭く感じる。
アリスが出掛けているうちに三人で用意してくれたツリー、テーブルには豪華な料理が沢山並んでいた。
「ビックリしたっスよ、アリスっち英語ペラペラなんスね。」
流されるままに乾杯をして、料理を頬張る。
不機嫌そうにチキンをかじる火神と青峰とは違い、社交的に楽しむ黄瀬は克哉とも火神の父親ともすぐに打ち解け親しく話していた。
『ペラペラって。涼太も向こうに少し行ってればすぐ覚えるよ。』
「今度遊びにおいでよ、歓迎するよ。」