• テキストサイズ

君と僕とが主人公LS

第33章 クリスマス イヴ


やったね!と黒子とアリスは笑顔でお互いの粘り強さを称え合う。
2号は脱ぎ捨てられた青峰のダウンとアリスのパーカーに包まって三人の様子を尻尾を振りながら見ていた。
オフェンスの黒子とアリスが青峰を抜いてシュートを決める事がとりあえずの課題。
火神不在の今、黒子のバニシングドライブにはアリスの存在は絶対に必要だ。
しかし、ドライブがハマり青峰を抜いても肝心なシュートが入らない。
それに抜いた所ですぐに青峰に追い付かれて止められるばかり。


「どうしたテツ、もうバテたか?」


まだまだ余裕の青峰に対し、黒子は肩でやっと呼吸しているような状態。
明日以降も試合予定がある事を考えると、今夜はこの辺りで切り上げるべきだろうとアリスは思っていた。


『青峰君、私も!私も!』


ずっと火神の代役で、その場にはいるが飾り物扱いだったアリスは黒子を休ませる為に、今度は自分と1on1だ!と青峰を煽る。
いいぜ、と笑う青峰を見た黒子はよかった、と安堵していた。
昔、自分達と休日でもバスケを楽しんでいた頃の青峰がそこにいたのだ。


「手加減しねぇからな。」

『私こそ!』


本場のストバス育ちのアリスの動きは、読もうとして読めるようなものではない。
それは青峰のプレイスタイルにもよく似ているが、彼女が得意とするのはマジックの様なボールハンドリングを駆使したドリブル。
ダムダムとテンポ良くドリブルをしていたかと思えば、次の瞬間にボールが消えて彼女の腕を伝い転がっていく。
その程度のフェイクには掛からない、と長い青峰の手がそこに伸びる頃には、ボールは宙を弾んで彼の背後に落ちていた。


「なっ?!マジかよ。」


へへん!と得意げな顔をしたアリスは、クルッと青峰をかわしてボールの元へ。
しかし、再び彼女の手にそれが戻ると同時にまた、青峰に前を塞がれてしまった。


『参ったな、抜けないや。』

「アリスさん!」


お互い本気ではないにせよ、相当ハイレベルな攻防戦。
しかし、それを変えたのはアリスを呼ぶ黒子の声だった。
そっか、と何か思いついた様に笑ったアリスは、ノーモーションから黒子へとパスを出したのだ。
それは初めて青峰とアリスがバスケをした夜の再現の様だ。
/ 439ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp