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君と僕とが主人公LS

第4章 5月


結局どこの部活にも参加する事なく今に至るアリスは、女子のクラスメイトと自然に距離が出来てしまった。結果落ち着いたのが今の場所だった。
頭上で交わされる英語での会話。
ナチュラルに速すぎて単語単語を聞き取るのが精一杯。
でもそれで十分に二人が汚い言葉で罵り合っている事だけはわかった。
久々のオフ、アリスの家で勉強するはずだったのだが、いつの間にか火神とアリス、どちらがバカなのか論議になってしまった。
最初こそ仲裁しようとしたが、どうも二人は気が立ってくると日本語よりも英語の方が話しやすいらしく、もはや黒子はそれを諦めた。
それなら二人が落ち着くまでに少しでもアリスの教科書に読み仮名を振っておこうと黒子はペンを握った。


『よぉしなら中間で勝負だ!』

「望むところだ!!」


二人同時にバン!っとテーブルに手をついた。
どうやら一先ず落ちる所に落ち着いたらしい。


「羨ましいです。」

『何が?』


まだ口喧嘩の余韻が残っているのか、黒子に対してもアリスの口調は強い。


「口喧嘩するのも仲がいいからじゃないですか。」


そんな事ないだろ、と答えたのは火神だった。
なんとなくアメリカにいた頃に同じ学校に通っていた友達だとは聞いていたが、黒子からしたら誠凛高校で出会う前までの二人のことは知らない。


『タイガのパパと私のパパは同じプロジェクトメンバーなのよ。だから向こうでは一緒に住んでたみたいなもんなの。』

「そうだったんですか。」

「向こうじゃシェアハウスが普通だしな。」


そうだったのか、と黒子は少しつまらなそうな表情になる。
一緒に住んでた、なんて聞いてしまったら内心穏やかでいられるわけがない。


「ならアリスさんもバスケを?」

『んー、まぁ少しね。』


アリスの煮え切らない返事に火神が不思議そうな顔をした事を黒子は見逃さなかった。
確か帰国したのは火神が先で、一年の差が二人にはある。
その離れていた一年の中に火神も知らない事があるのだろうか。


「つか、アリス。腹減った。」


火神の言葉に二人の視線が時計に向く。
時刻は十一時半を少し過ぎたあたり。
昼食にはまだ少し早い気がするが、調理する時間を考えれば丁度いいのかもしれない。


『黒子君は嫌いなものとかある?』
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