第30章 12月 II
「俺はもう好きなのかわかんねーよ。」
『でもやめないじゃない?』
「やめ方がわからねぇんだよ、たぶん。」
『やめたいの?』
「それもわかんねー。」
様子がおかしかったのはこのせいか、と察したアリスは、きっと青峰と初めて会った頃の自分はこんな風に周りから見えていたんだろうなぁと考えていた。
バスケが好きなのに自分から離れようとして、結局離れられない中途半端な状態。
青峰とアリスが違うのは、青峰の場合は本人ではなく、周りが彼をバスケから離さない様にしている事だろう。
『私は今、凄くバスケが楽しいよ。だからまた、そう思わせてくれるきっかけをくれたみんなの事が大好き。』
「そん中に俺も入ってんのか?」
『勿論!それに青峰君も言ってくれたじゃない?またバスケやろう、って。』
そうだったか?ととぼける青峰に、言ったよ!とアリスはムキになる。
『でも青峰君とはまだやれてないね。でも…。』
「でも?」
『今の青峰君とはやりたくないな。』
「はぁ?!」
だって怠け癖ついてるでしょ?とアリスは言った。どうせやるならちゃんと本気の青峰とやりたい、と。
「お前、よくそんな事言えんなぁ?」
『だって。手を抜かれるとか一番嫌だもん。それに今の青峰君には負ける気がしない。』
「んだと?俺に勝てるつもりかよ!」
ムキになって言い返してしまい、ハッとした青峰は想像とは真逆の、嬉しそうな顔をするアリスに混乱する。
『よかった、いつもの青峰君に戻ったみたい。』
「…んだよそれ。」
こんなやり方は反則だろ、とどんどん熱が上がって行く事を感じる。
「アリス、あんまそんな顔すんなよ。」
『そんな顔?』
「誤解しちまうだろ。」
試合前でナーバスになっていた事を心配して、甘えからのワガママを聞き入れ、しっかりそれを受け止めてくれる。
まるで自分はアリスに好意を持たれているみたいだ。
『…好きだよ、青峰君。』
「なっ!?」
『バスケが大好きで、バスケに夢中になってる青峰君、私は好きだよ。』
「…お前なぁ、そう言う事を簡単に言うなよ。びっくりすんだろうが。」
アリスの言葉一つで一喜一憂してしまう自分が情けない。