第30章 12月 II
薄暗い室内のベッドが盛り上がっているのを見てほんの少し安心した。
『青峰君?』
「…おせーよ。」
寝てはいないとわかっているが、まだ横になったままこちらに背を向けている姿を見てしまうと本当に来てしまって良かったのか?と思えてくる。
『具合でも悪い?』
枕元に静かに座って顔を覗き込もうとする。
『ちょ?!まっ?!』
ゴロッと寝返った青峰にそのまま上半身を掴まれたアリスは、体勢を崩して彼の上に倒れてしまった。
思い切り顔から青峰の胸に落ちたアリスを逃がさないと強く抱きしめた。
「捕まえた。」
『ちょっと、痛いよ。』
ドクン、ドクンと規則正しい心像の音と一緒に熱のこもった青峰の声が聞こえる。
顔を上げようとするが力ではそれにかなうわけもなく、無駄に足掻くだけになるとわかっているからアリスはされるがまま。青峰が離してくれるのを待つ。
「充電してんだ。もう少し我慢しとけ。」
『何かあったの?』
「…別に。」
『嘘。…別に話したくないなら話さなくてもいいよ。でも、とりあえず離して。』
アリスはそう言うとギブアップだ、と青峰の腕を叩いた。
しかたないと力が抜けていく腕から逃げ出したアリスを追う様に青峰も体を起こした。
「本当に来てくれるとは思ってなかった。」
『なんで?』
「なんでってお前…。」
ウインターカップまで後ニ日。
そんな大事な時に自分のワガママを聞いてくれるとは思ってもいなかった。
自分にとってはただの消化試合みたいな感覚でしかない。
今までと違うところがあるとすれば、対戦校に過去のチームメイトがいることぐらいだ。
けれど他にとっては違う。
それすらわからないほど青峰も馬鹿ではない。
「テツ達といるんだと思ってたからよ。」
『あー、みんなは練習だろうね。』
練習後に2号を送ってくる黒子と一緒に夕飯を食べ、秘密特訓をするのがここ一ヶ月間の日課だった。
「行かなくていいのかよ?」
『それ、そのまま返すよ。練習、行かなくていいの?』
言われた青峰はどこか気まずそうな顔。
それを見たアリスは安心した様に微笑んだ。
きっと内心では練習に行かない事を気にしているとわかった。
『そうだ。お土産持って来たんだ。食べようよ!』
「土産?」