• テキストサイズ

君と僕とが主人公LS

第29章 12月


練習中はいつもアリスに遊んで貰っている2号は、今日は何するの?と尻尾をプリプリと降っている。
練習着に着替え来ます、と一旦部室へと向かう黒子と別れアリスは先に体育館へ入った。
昼間はハイスクールで勉強。その後はアレックスの元、地元の同世代の選手達との厳しい練習。
クタクタになって自宅に帰った火神は真っ直ぐにバスルームへ向かった。
まだ父親も克哉も帰宅してはおらず、夕食は自分で作るしかなさそうだ。
ほんの数年前までは、アリスもここで一緒に暮らしていた。
懐かしい思い出の溢れる場所は、彼女のいない寂しさを強く感じさせる。
何度も連絡をしようとしたが、自分が何の為にここへ来たのかを思い出しそれをやめた。


「…今頃何してっかな。」


もうすぐ日付が変わる。
日本とロサンゼルスの時差は16時間。
今頃は授業も終わり練習が始まっただろうか。


「I'm home!」
(ただいま)

「Welcome back Katsuya.」
(おかえり、克哉さん)

「Are you still awake?」
(まだ起きていたのかい?)


ネクタイを緩めながら入って来たのはアリスの父、克哉だった。
もう寝る所だったと伝え、自室へと向かおうと立ち上がった火神を克哉は呼び止めた。


「調子はどうだい?」

「まぁまぁかな。」

「昨日、アリスからメールがあったんだ。また、バスケを始めたって。」


嬉しそうに娘の事を話す克哉につられて火神の表情も緩む。


「そうなんだよ。だからアイツにがっかりされたくねぇし、俺も頑張らないと。」

「いいなぁ、若さだな。」


でも無理はするなよーと火神の肩を叩くと克哉も自室へと向かう。
大好きなアリスにそっくりな彼の笑顔を見てしまったせいか、部屋に戻った火神はスマホを手に彼女の番号を呼び出す。


『もしもーし?』

「…俺、だけど。」


その手はもう古くない?と笑う久しぶりに聞くアリスの声。
オレオレ詐欺には引っかからないよ、とまだふざけている。
変わらず元気なアリスの声に安心する。


「元気そうだな。」

『うん、タイガは?』


毎日アレックスにしごかれてる、と言えばその為に行ったんでしょう、と返されてしまった。


「みんなはどうしてる?」
/ 439ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp