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君と僕とが主人公LS

第27章 11月 II


「当たり前です、アリスさんは僕達の仲間です。」


青峰を挑発するような黒子の言葉に、胸が熱くなる。
中途半端に関わることしか出来なかったのに、仲間だと言ってくれた。
ジュースを手にした火神が戻ってきて更に空気が変わった。
黒子と火神は堂々と青峰に宣戦布告をしたのだ。
夜、なかなか寝付けずに部屋を抜け出したアリスは誰もいない談話コーナーのソフーに座った。
カチカチと時計の秒針が動く音が耳につく。


「…なんだよ、起きてたのか。」

『タイガも?』

「あぁ、ちょっと緊張してんのかもな。」


青峰君と戦うから?と聞かれた火神は、それもあるが、と言い次の言葉を探している。
向かい側のソファーに座った火神をアリスはじーっと見つめていた。


「明日からアメリカに行ってくる。」

『え?』

「アレックスに会ってくるよ。」


そういうことか、とアリスは頷いた。


『パパやおじさまにも会える?』

「あぁ、滞在中は親父達と一緒だからな。」

『そっか。でも、なんか寂しくなっちゃうな。』


そうだな、と火神は一言。
そして何を思ったのか火神は両手を大きく広げた。


「…一か月だ、泣くなよ?」


アリスは火神が何をしたいのかすぐに理解して、彼の前に立った。
そのままちょっと体を屈めて火神に腕を回した。


『タイガこそ。』

「それから、あんまアイツ等と関わるなよ?」

『それは、どうだろう。』


嘘でもいいからわかったって言うところだろ?と火神はアリスのおでこを叩く。
僅か一か月といえど、海の向こうに行く。何かあっても側にいてやる事は出来なくなる、と火神は言った。


『私も強くなるよ、大丈夫!』

「まぁ、程々にな。」


火神の首に回されたアリスの腕は解く事なく、まるで相思相愛のカップルの様。
今まではここは日本だから、と過度なスキンシップは避けてきたが二人にとってはこの程度は普通だった。
兄妹の様に過ごした年月が長い分、ハグもキスもして当然になっている。
しかし、今の彼等しか知らない人物がこれを見たら誤解してしまうのは仕方がない事。


「…なんや。おもろないなぁ。」

『今吉さん?』

「結局、そういう事やったんか。」


声に驚き火神から離れたアリスに、もう今更やで、と一言。
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