第26章 11月
そっちは黒子が見に行った、と伝える間も無くアリスは走って行ってしまった。
会場の隣は整備された公園になっており、黒子がそこへ入って行くのが見えた。
『黒子君、2号見つかった?』
「アリスっち!」
どっかで見た覚えがあると思ったらやっぱりアリスっちの所で見た子だったんスね、と黄瀬は笑った。
ワンワン!と黒子の腕の中から飛び出してアリスに駆け寄った2号をしゃがみこんで彼女は撫でた。
「あれー?アリスちゃんじゃん!」
『高尾君!久しぶり!』
思いもよらない所で、思いもよらない面子が揃ってしまった。
「よかったな〜慎ちゃん、アリスちゃんに会えたじゃん!」
『え?』
「なっ!何を言うのだよ!!」
気絶してしまった桃井をおぶっていた黄瀬の顔から笑顔が消える。
高尾が妙にアリスと親しげなのもそうさせた理由だが、一番の理由はあの緑間が激しく動揺しているのを見たからだ。
「照れんなよ〜、男のツンデレなんてキモいだけだぜ。」
「高尾!!」
帰るのだよ!と背を向けてしまった緑間が頬を染めていた事を黄瀬と黒子は見逃さなかった。
「驚きました。緑間君とも知り合いだったんですね。」
『海合宿の時にちょっとね。』
「アリスさんは強者を惹きつけるんですね。」
そんなつもりは無いんだけどなぁ、とアリスは何も思い当たる事がないと考え込んでいた。
2号をそのまま連れて帰ると言ったアリスと別れ、黒子はチームメイト達に合流した。
次の試合の結果でウインターカップ出場校が決まる。
誠凛が戦うのは過去に因縁のある霧崎第一。
何があったのかは知らないが、火神も黒子もなんだか様子がおかしかった。
それに今日に限ってカントクからアリスに「一緒に来て欲しい」とメッセージが来ていた。そんなに大変な相手なのだろうか。
『今日はウチでお留守番だよ。』
2号を残し家を出てアリスは学校へは行かずに会場へと向かった。
選手達と一緒に会場入りする事にはまだ抵抗があり、早めに来たアリスは誠凛のみんなが到着するのを待っていた。
「ありがとう、アリスちゃん!」
控え室まで一緒に入ったのは初めてだ。
しかし、アリスが同行したのはそこまで。