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君と僕とが主人公LS

第24章 10月 Ⅲ


食べて大丈夫なのか?と黒子と青峰は心配そうな目をする。


『もー。すっごく不味い!でも…。』


そう言われるだろうとは思っていたが、実際に聞くとその攻撃力は高い。


『でも、嬉しい。ありがとう!』


日本に帰って来てからずっと、この家に一人だったから食事の支度がされていた事はなかった。
だからそれが暗黒物質だったとしても嬉しい、とアリスは本心から二人にお礼を言った。
昨日、お風呂に入ってないから今からそれを済ませて登校すると言うアリスに黒子も一度家に帰ってから出直す、と彼女の家を出て行った。


『青峰君、練習は?』


シャワーを済ませて髪を拭きながら顔を出したアリスは、まだそこにいる青峰に苦笑い。


「たぶんねぇーよ。」

『たぶんって。来月からウインターカップの予選始まるんでしょ?』


インターハイ準優勝校に予選はねぇよ、と力無く言った青峰はだから練習もねぇよ、と付け足した。
自分はこの後文化祭二日目がある。


『タイガもそうだったけど。ウチは避難所じゃないんだけどなぁ。』

「んだよ、いいだろ?」


お前が出る時一緒に出るからもう少し居させろ、と。
まったく、とアリスは着替えに自室へ戻ってしまう。
何気なくTVを付ければ話題のニュースに本場アメリカのストバスチームが紹介されていた。
いかに相手が嫌がるような派手なプレイをするか、そんな試合内容。そして彼等のそれはアリスのプレイスタイルに良く似ている。


「まさか、な。」


あり得ない、と浮かぶ仮説を自分で否定する。
ニュースは次の話題に変わっていた。
下着を付け直しキャミソールを着てから制服に袖を通す。
リビングから聞こえるニュースの声にセーラー服のリボンを結んでいたアリスの手が止まる。
きっとウインターカップが始まり、誠凛の試合を見に行けばまた辰也に会う事もあるだろう。
だからもう、過去に怯えて逃げてばかりはいられない。
逃げて日本に来て、バスケからも逃げようとしたけれど結局は逃げることの方が辛かった。
だからもう逃げたくはない。
昨日、久しぶりにバスケらしいバスケをやって、やっぱり自分はそれが大好きなんだと思い知った。
だからもう、自分の気持ちからは逃げない。


「おい、時間大丈夫なのか?」

『もうそろそろ出掛けるよ。』
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