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君と僕とが主人公LS

第3章 4月 II


どうしたものかと思っていたら、彼女に手を掴まれた。


『こっちです!』


彼女に引っ張られるままに住宅街を走る。
ズボンのポケットに入っているスマホは無事だろうか。


「おい!」

『私の家、そこなので。』


そのまま彼女に引っ張られ、見知らぬ誰かの家に逃げ込んだ。
使用感があまりない風呂場。
少し熱めのシャワーに打たれる。


『タオルと着替え、置いておきますね。』


曇りガラスのドアの向こうから声をかけられ、あぁ、と一言。
いくら突然降り出したからといっても、見知らぬ彼女に手を引かれ、家に上がり、シャワーまで借りている。
おまけに着替えまで借りる事になるとは。
ドアを開けると真っ白なタオルと紳士物の服、未開封のトランクが置かれていた。
いきなりの事でこれが用意出来るのは、これを使う誰かがこの家にいるから、もしくは出入りするから、だろう。
何故かそれが無性に嫌な気分にさせる。
しかし、いつまでも出ていかないわけにはいかない。
自分と同じで彼女もずぶ濡れなのだ。


「出たぞ。」


風呂場から声をかければ、奥の部屋から彼女はひょっこり顔を出した。


『雨が止むまでテキトーにしてて。』


殺風景なリビング。
必要最低限の物しかない、そんな感じだ。
しかし、不思議と居心地は悪くない。


『飲み物ぐらいなら冷蔵庫にあるから好きに飲んでね。』


私もお風呂してくる、と彼女はリビングを後にする。
一人暮らしにしては広すぎると感じる間取り。
メゾネット式のアパートで、どうやら二階が彼女の部屋らしい。
トトトっと階段を登っていく足音が聞こえた。
外は雷まで鳴り始めている。当分雨はやみそうにない。


「…なにやってんだ、俺…。」


誰だかも知らない女の家で、恐らくそいつの男のだろう服を着て。
考えても仕方がないか、とソファーに腰を下ろすと目に入ったのはTVボードに飾ってあるフォトフレーム。
バスケットボールを手にしてはしゃぐ子供が写っていた。


「んだよ、やっぱ好きなんじゃねぇか。」


それは自分の幼少期の思い出に重なる。
大人に混じって近所の公園でストリートバスケに夢中になった。
子供なのにバスケに興味を持つなんて珍しい奴等だと、大人達にも可愛がられていた。
と、スマホがけたたましく音を出す。


「ちょっと大ちゃん?!今どこなの?!」
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