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夢操り屋 凛 第二章

第5章 花の名は。


「おかえり~。」
眠りから覚めて、一番最初に目に映る人…

「浩二君…。」
いつものように起き上がるのを手伝う為に手を
差し伸べてくれていた。

彼の横で、少し不安気に小林さんを
覗き込む田中さんが目にとまった。

程無くして、小林さんが目を覚ました。

夢の中で、情報を書き出した手帳…
それはしっかりと私の記憶になっていた。

頭の中の手帳をめくりながら、実際のメモ帳に
書き出していく。

「すごく素敵な思い出やったよ。なんとかあの場所に
 たどり着いて欲しいって思って、出来る限りの
 目印は書き出したんやけど…。」

私の言葉を聞きながら、小林さんは
書き出される目印を見つめていた…。

「先輩。本当にありがとうございました。
 こんなにもたくさんの目印…。
 私、これを辿って、必ず見つけてみせます。」

そう言って、大事そうにメモ帳を
胸ポケットにしまってくれた。

「ただ、気になってたんやけど…、記憶から、
 もう十年以上経ってるやん?まだ、あるかな。
 道沿いに、一列に綺麗な花を咲かしていたあの木。」

そうつぶやいた、私の言葉に…

「えっ!木なん?木に咲いてる花なん?」
 
…と、三人ともビックリしていた。

(やっぱり、全員が摘めるような花を
 イメージしてたんか…。)

「うん。低木に咲く花やで。花の記憶も怪しかったん
 やけど、香りで分かった…間違いないと思う。」

「…んで?花の名は?」

そう言いながら、浩二君が今にも飛び出して
行きそうな小林さんにかばんを手渡していた。

花の名を聞いて、小林さんはすぐに駆け出して行った。
そのすぐ後を…

「待って~。真琴ちゃん、私も手伝うから~。
 一緒に探しに行こう~…」

バタバタと…二人の足音が、田中さんの
声と共に遠ざかって行った…。

「頑張れ!!」

思わず口にした言葉は、また…
浩二君とシンクロした。 















 
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