第62章 【一松ルート】デカい猫保護しました
「お前ばかりどうして……俺だってこんなにも、こんなにもアイツの特別になりたいと思っているのに! もしアイツが心変わりをしてくれるのなら俺はなんだってするつもりがある!! だからこそ今も俺は……俺は、ここに掃除と言う名目で会いに来ているっ」
「………はは、やっと本音が出てきたねクソ松」
何故、自分は今兄に向って本音をぶちまけろと言ったのかは実は自分自身でもよくわからない。
だが、いつも弟には優しく責めない。
自分の気持ちすら隠してしまう次男に腹を立てていたのは事実。
ナス子の事で長く悩んでいた自分の姿と今のカラ松が、少し重なってしまいイラ立ったのかもしれない。
「こんな事を聞いてどうするつもりなんだ一松、俺にどうしろと言うんだ」
「…………さぁ、俺にもわからないけど、お前の行動にイラついてたのはわかる」
「俺の?」
「片思いしてるのにそれでも相手に尽くしてる所とか、俺がこの家にいても気にせず訪ねて来る所とか……本当にイタイよね」
「……一松」
一松はナス子と付き合い出し多少の自信はついたのだが、他の兄弟よりも優れているとは到底思っていない。
おそ松は、あんなにどうしようもない長男でもカリスマ的なリーダーのようなクソでもゲスでも人を引っ張っていく力がある。
どんなに辛い状況でもすぐに乗り越えてしまう。
カラ松は素直だ。
そして誰よりも優しく、すぐに誰かのお願い事を聞いてしまう。
こんな事思いたくはないが、イタイだけで頼れる次男だと思う。
チョロ松は常識人、しっかりしてるというか、自意識ライジングシコスキー野郎だとしてもすぐに誰かの変化に気づき相談に乗ってくれる。
ライジングさえ抜かせば真っ当な人間だ。
十四松は自分に比べると心底明るい。
落ち込んだ相手を元気にするのが上手い。
一緒にいると元気を与えてくれるし、こっちが困っていれば一緒に解決策を考えてくれる。
トド松は、ドライモンスターであざといが頭がいい。
どのような困難にいようともそれを脱しようとする力がある。
甘えるのだって上手い。
それに比べて自分は…………。