第59章 【R18】【トド松ルート】その後
「……よし……誰も、いないな……」
トド松はキョロキョロと何度も辺りを見回し、ふぅっと短く溜め息をつく。
ナス子と付き合うようになってからというもの、何かにつけてすぐ兄達の妨害やらなにやらが入る為、せっかく二人でいてもまったく気が休まらないことが続いていた。
もしかして寝ている間に身体にGPSでも埋め込まれたのかと思うほど、絶妙なタイミングで現れる兄達に、何度心底殺意が沸いたことか。
「ホンット誰かアイツら殺してくれないかなぁ~、殺してなんて贅沢言わないから存在を消してくれたりしないかないやマジで」
今日も今日とてナス子とデートの約束をして、それを悟られないよう変にワクワクしたりせず、可能な限り普段の態度を取るよう努めた。
内心は楽しみで仕方なかったが、前記のような不安もあった為割と冷静になれたと思う。
大きなショーウインドウの前で立ち止まり、自分の姿をチェックする。
お気に入りのハットを被り、春らしくパステルカラーを主役にコーディネイトしつつ、男らしさを忘れない、トッティ的に完璧なスタイル。
春ってまるでぼくのような季節だよねぇ。
イメージカラーがピンクだし、爽やかで、清々しい!
まさにトッティの為の季節って感じっ!
今日のデートは、いつものように部屋でゴロゴロぐだぐだするのではなく、少し遠くの水族館に行って、美味しいディナーを食べて、ホテルに泊まる。
予約もバッチリだ。
今日だけは絶対に兄達に邪魔されたくなかった為、朝から最新の注意を払って家を出てきたのだ。
髪の毛が一本床に落ちても気付くほど、トド松の気配は過敏になっていた。