第8章 冬に半袖は風邪を引く トド松 途中からトド松side
朝だ、私の最も苦手な時間である。
朝日を浴びただけで溶けるのではないだろうか・・・。
だがしかし私が寝ずに起きていた理由は隣人の親友に預けたミケ子を迎えに行くためだ。
親友の名前は夢咲どり子、ここのマンションの大家さんの娘である。
私が家賃お安くここに住んでいられるのは彼女のお陰だ。
この子も六つ子とは顔なじみの子。
ピンポンとチャイムを鳴らそうとすると中から背の高い銀髪の男性が出てきた。
ちなみにコイツとも私も仲良しである。
彼は三K持男(さんけいもつお)、通称モッチー、どり子は大企業の息子に見初められ、めでたく結婚。
今は新婚生活の真っ最中だ。
「あ、モッチー(もつお)だ。はよー! 今から仕事?」
「おー、ナス子はよ! まだパジャマかよ、まぁいつもの事か」
まだと言うかこれから寝るんすよ持男さん。
身長180の男性を見上げると首が痛い。
しかも容姿端麗。目も痛い。
てか大企業の息子なのになんでここに住んでるんだろう、家なんて軽く建てられるだろうに。
「なんだよゲッソリした顔して、お前クマ凄いぞ。ブッサイクー!」
人の顔を見るなりこれだ。イケメンでも中身はあのムカツク六つ子とあまりかわらない。
「あ、どり子、行ってきますのちゅーは?」
「は? あ、ナス子おはようー」
「どり子! おはよ、ミケ子ありがとうね♪」
モッチーがどり子に行ってきますのキスをしようとしているが、それを絶妙なタイミングで避けた。
うん、ちゃんとしてる。ちゃんと新婚。
「なんだよどり子、ちゅーがないと今日俺頑張れないんだけどー?」
「はいはい、行ってらっしゃい」
相変わらず人前ではラブラブな所を見せたくないのか持男の背中を押し仕事へとせかす。
「ちっ、冷たいなぁ・・・お前のせいだからなー!!」
恨めしそうに私を指さすとバーカバーカと憎まれ口を叩きながら家を後にした。
「どり子、ちゅーくらいしてやればいいのにぃ。別に私は気にしないよ?」
「ミケ子迎えに来たんでしょ?」
「えっ・・・?」
100%無視だ。
「連れてくるから待ってて」
相変わらずクールなガールだぜぇ・・・って私はどっかの次男か。