第58章 【R18】【チョロ松ルート】その後
折角チョロ松から触れてもらえたと言うのに、嬉しさと違うものがハラハラと瞳から零れ出した。
「………ちょ、チョロ松…な、なんで今日、そんなに怖いの…?」
恐怖の顔を浮かべ、涙を流す恋人を見てギョっと目を丸くすると、チョロ松は途端先ほどまでの怪しい表情も消えてあたふたと慌て始める。
「えっ、ぼ、ぼぼ僕が怖かった?!…怖がらせ…たの?」
「…っぅ…ふっ…なんか怒ってるみたいで…っう…っく」
まだ固定されている両手を顔に当てて泣いてしまったナス子をチョロ松が困った顔で見下ろすと、上から優しく相手を抱きしめる。
「ごっごめん! 悪かったよ!! こ、怖がらせるつもりじゃなかったんだけど…どうしてもお前の無防備さと兄弟達とかさっきのおそ松兄さんの事考えちゃって…それで…独占欲が沸いたっていうか…」
「う…うぇっ…ふっ…」
「ナス子は僕の彼女なのに、いつもアイツらは邪魔ばっかするし…お前はアイツらの事弟で幼馴染だからってすぐ家に上げたり一緒に遊んだりするし…えっと、だから…その…ホントごめん」
未だ涙が止まらない相手の顔をやっといつものへの字の口、八の字眉で心配そうに覗き込むチョロ松は優しくナス子の頭を撫でる。
やっと手も自由にしてもらうと緊張した体も緩んでくる。
「妬きもちとお前への気持ちに理性がぶっとんじゃったみたい…ごめんなさい! 反省、してるよ…」
「っ…うっ…わ、私もその…アイツらの事で怒ってたなら、ごめ…ん…でも、やっぱチョロ松とは兄弟だし…私も、可愛い弟って思うと、む、無碍にもでき、なくて…」
必死に涙を堪えて喋るナス子の額にキスをすると、困った顔のままだがチョロ松は仕方なさそうな表情に変わる。
「わかってる、わかってるよ…なんだかアイツらに馬鹿にもされて余計に腹が立ってたと言うか…八つ当たりみたいな仕方になってたかも…酷いよね、僕。 死んだ方がいい」
「死ぬなら私がいつか殺すから死なないで…」