第57章 【R18】【おそ松ルート】その後
カーテンを閉め切っていてもわかるほど、外はスッカリ明るくなり、小鳥の囀りが聞こえてくる。
「━━━━━ なぁ、ナス子……」
「……なに?」
「そろそろ……いいか?」
「え?」
それまでただ何度もキスを繰り返し抱き締めあっていた二人は、お互いにその腕の力を少しだけ緩めて顔を見合わせた。
おそ松の真剣な表情に、心臓が高鳴るが、同時に嫌な予感もする。
「そろそろ……次の工程に進みたいんだけど」
「……次の工程って?」
なんとなく、おそ松の言いたい事を悟っているナス子は、そろりと視線を逸らしてすっとぼける。
そんなナス子に、おそ松は眉を寄せて口端を上げる。
「おいおいおいナス子ちゃんよぉ、とぼけるのはやめにしようなぁ? わかってるくせにぃ~、あっ、もしかして照れてんの? 照れちゃってんのぉお前~」
にししと笑い、図星を突かれて顔を赤くし唇を尖らせたナス子の両頬を指でブニブニとつまむ。
「べべ、別にっ! 照れてないしっ!」
「じゃあしようよぉ~…………セッ・ク・ス」
思わず腕でおそ松の身体を押し返そうとしたナス子だが、耳に息を吹きかけられながら吐息交じりの声でそう言われると、背筋がゾクゾクとして力がうまく入らない。
「~~~~っ」
「な? いいだろぉ? 正直俺もう限界……しないと死んじゃうかもっ…」
「そんなわけないでしょ……っ」
紆余曲折を経てやっとなれた恋人関係。
おそ松の言うこともわかるし、ナス子自身ももちろん嫌なわけはない。
わけではないが、長年培われた関係のせいか、なかなか素直な言葉が出てこない。
「この流れで断るのだけはヤメテ?! そんなことされたら俺ホントにショックで頭破裂するからねっ?! 俺が破裂させたいのは頭じゃなくてチン×だからねっ!! ねっ!!!」
「物理的に破裂すればいいのに……っわ……わかったよ……っすればいいんでしょ?! すれば!!」
半ばヤケクソとナス子が顔を真っ赤にしつつもそう言うと、おそ松の表情が燦々と、春の麗かな日差しのごとく眩く輝く。
あまりの眩しさに本当に発光しているのではないかと錯覚するほどだ。