第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り

「聞いてるぅ？･･･私どうしたらいいと思う～？　自分の気持ちがわかってもこれは常識的にかんらえておかしいんだよぉｌ」

　酒の中で一番苦手な焼酎が完全に体を支配し、既に呂律まで回らなくなってしまったナス子だが、もうここは酒の力に任せてしまえとばかりに自分の中の理性という人間ををぶっとばし、ただの本能と言う勝者が顔を出した。

「あ、ああ･･･き、聞いてる聞いてる」

「なぁんでさぁ、私があいつら6人の事、好きになっちゃったのかなぁ～･･･いくら同じ顔で同じクズって言ってもさぁ～、全員個性がある訳でしょお？」

「そっ、そうだな･･･え？！好き？！」

「昔は可愛い弟達だったんだよぉ？　なのに、大人になってから急に身長も伸びて私の身長なんてすーぐ追い越しちゃってさぁ、初めて追い越された時はすっごいムカツくニヤニヤした顔でこっち見下してきたりとかもしたしぃ･･･可愛くないよねぇ？」

「可愛くねえな、うん」

　屋台のテーブルに顎を置き、ムスっとした顔をしながら、ちゃんと話をうんうんと聞いてくれるチビ太に気をよくし、今日は思っている事を全部吐いてしまいすっきりしてしまおうとナス子はグラグラした思考で考えた。

「それで今度は･･･あれだよ？　せっかく私が手に入れた一人暮らし空間を邪魔しにちょいちょい遊びにくるしぃ･･･鍵まで盗むしぃ～ほんっっと最低だよねぇ」

「はぁ？！鍵だぁ？！！それもう犯罪のレベルじゃねぇかバーロー！」

「････そう思うじゃん？　思ったんだよ？　最初は、さ。　でも、なんでだろぉ？　あいつらなら別に持っててもいいかなぁって思ってきちゃったんだよねぇ～･･･」

　ぐちぐちと吐くナス子のほぼ一人事を、チビ太は返事をしながらも心配そうに頷いていた。