第53章 【微エロ・逆ハールート】欲張り
仕事から帰宅し、落ち着く部屋で着替えを済ませる。
お風呂に入った後、少し趣味を堪能していると、日差しが眩しくカーテンから洩れてきた。
暗がりから明るくなるのを確認し、ナス子は多少目が霞むような感覚になり目を細める。
やりたい事を終え、ウンと伸びをして愛猫を抱き、共に布団へと入っていく。
最近は、平和だ。
正直の所、ナス子はあの薬の一件以来、六つ子達に会えないでいた。
会えないと言うよりも会わないでいた━━━━
━━の方が正しいかもしれない。
いくらおそ松がスペアキーを持っていたとしても、最近はチェーンをかけ、徹底的に部屋に入れなくしている為、なんの問題もなく安眠出来ているし、ゲームも出来る、アニメも見れる、大好きな絵だって描き放題。
ナス子が求めていた生活そのもののグータラ、ズボラ日和である。
他の六つ子も何度も訪ねては来ていたが、寝たふりをして居留守を決め込んだ。
トド松からのLIMEも勿論安定の既読スルーや適当なスタンプのみを返して流している。
全く何故自分がこんな目に合うのかとも思うが、それもそれで自業自得。
やられたらやり返すがモットーのナス子だったが、まさかのやられたらやり返す事をまたやり返すという六つ子達とのいじめループに疲れている。
・・・いや、会いたいよ?
会いたいけど、私はなんとなく気づいてしまった。
大好きな六つ子達が、自分をそういう対象として見ている事に・・・
いくら鈍いとか馬鹿だとか残念とか言われようとも、薬の効果がとっくに切れているのにも関わらず、あんなにスラスラと自分にアプローチをかけてきた相手の言葉や態度に気づかない程、ナス子の頭は空っぽではなかった。
思い返せば旅行に一緒に行った時から少しつづ兄弟達の様子はおかしくなっていった気がする。
いや、おそ松と初めてキスをした時から既にこの幼馴染で弟達・・・という関係は狂いだしていたのかもしれない。