第48章 【トド松ルート】小さな努力
「━━━━━━っ」
好き、と言う言葉に体中が真っ赤になっていくような気がしたナス子は、もうトド松の顔は見れない。
そんな恥ずかしそうに俯くナス子を愛おしそうな目で見ていたトド松は悪い顔へと表情を変化させニヤリと口元を吊り上げると、俯いた顔を下から覗き込んだ。
「ね~、ぼくは今ハッキリ言ったよ? ぼくにばっかり言わせるのってずっるいよねぇ!」
「疑問形だったでしょうが!」
「でも、本当の事だよナス子姉さん♪」
「・・・・・・・・・・・・く、苦しい、息出来ない、心臓が死ぬ」
トド松の悪戯な顔すらも、可愛くて・・・恰好よく見えてしまうと、自分の気持ちを認めざるを得ないが、いつものようにこんな状況でもいじめてくる相手に若干腹が立つ。
「トド松だってもう気づいてるならいいでしょう?!」
「だーめっ、ぼくだってちゃんっとその口からしっかり聞きたいのー! ほら、言ってよ、ねぇねぇ?」
尚もニヤリニヤリとしたアヒル顔が近づいてくると、手の平でそれを押し返しながら別の方向を見てボソリと口を開いた。
「わかった、わかったよ! わ、私も・・・トド松が、好きだよ?」
「はーい、疑問系きた~。ナス子姉こそぼくと同じスタンスで言ってるんじゃないのこれ」
納得できなさそうに唇を尖らせたトド松だが、内心では、先程からずっとドクドクと大きく脈が鳴っている。
まさか自分の思いがちゃんと届いていた事など微塵たりとも感じていなかった訳なのだから当たり前だ。