第48章 【トド松ルート】小さな努力
「・・・・・・っ」
それでもなお期待してしまう自分が馬鹿馬鹿しいとは思うが、途中で止められた言葉にドクンと早鐘を打ち始める。
ジェラートどころではなく、少し溶けたジェラートが手に垂れるのもお構いなしにナス子に顔を向けた。
「ぼ、ぼくが何? 最後まで言ってよ!」
「トド、松、は・・・っ・・・っ・・・言える訳なぁあぁああい! こんな自意識過剰でこっぱずかしい事を自分の口から言わせるの?! なんで私がこんな事を思ってしまうの?! 相手はアンタだよ・・・! いっつも酷い事ばっかり言ってきて口を開けば残念残念言ってくるし、女子力がないとかお洒落がどーのこーのとかダメだしばっかするし! それなのに急にき、キスしたりもしてきたし・・・こっちが勘違いしちゃうじゃん! 」
「・・・!・・・!!!」
目を丸くしたままのトド松だったが、ナス子が矢継ぎ早に捲し立てた言葉に身を乗り出すと、敢えて自分からは言わず言葉を続けさせる。
「勘違いしたとしたら何?! じゃあもしその勘違いが本当だったらナス子はどう思う訳? ちゃんと言ってくれないとぼくだって勘違いするよ?!」
「な、なん・・・っ言いたくない! 言いたくないこんな事!!」
「今のぼくらにはそれが大事な事なんだよ、言って? お願い!」
ナス子の肩を勢いよく掴むと、持っていたジェラートは地面に落ちてしまい・・・勿体ない!とナス子は一瞬思ったが、トド松の必死に迫る勢いから逃れられず震えた身体と唇でたどたどしく答えた。
「と、トド松、が・・・私の事をもしかしたら」
「うん」
「す、すすすすす、好きなの、ではないか・・・って」
聞きたい言葉がやっと聞けた。
理解してもらいたかった事をやっと理解してもらえた。