第48章 【トド松ルート】小さな努力
松野家二階。
夕食を追えた兄弟達は部屋でグッタリとしている。
その原因は六つ子の想い人であるナス子なのだが、毎日のように会いに行き、皆それぞれの想いをぶつけてはいるものの、一向にその想いは伝わらず、からかわれているのだと軽く流されてしまっている。
そんな毎日の告白ループに、六つ子全員が辟易としていた。
壁にもたれかかり、スマホを弄りながら画面に目を通し頭を抱えると、床に突っ伏す松野家末っ子、松野トド松がまず声を上げる。
「あ゛ー、もうっ! あれもダメ、これもダメ!! 調べた女の子の喜ぶ事は全部やったっ、プレゼントも送ったし、沢山褒めてるし、軽いボディタッチでドキドキを狙う展開までした! 焼きもち焼かせる為に他の女の子の事話したりとかしてもなんっか知らないけど、楽しそうにノートにメモしてくるしっ・・・なんなの!? あの原始人並みの恋愛偏差値のなさ!! 寧ろまだ原始人の方が恋愛偏差値高いんじゃないの?!」
「まぁ、しょうがないよねぇ~チンパンジーやカピバラ並みの動物みたいなのが相手な訳だし? カピバラに愛を伝えてるのと一緒だよねぇ?・・・お兄ちゃん、ちょっと疲れてきたよぉ」
「まさか惚れた女に愛を伝える事がこんなにも難しい事だとは・・・思いもよらなかったぜ・・・しかし!それもまた愛の試練・・・フフ」
「お前はいいよなぁ本当ポジティブで、僕なんか幼馴染で弟、それでもって親友という位置まで確立されちゃってる訳だから、余計にややこしくて大変なんだよね・・・残念すぎるにも程があるわっ」
「・・・でも、ある意味親友っていい位置なんじゃないの?」
「そうなの?! じゃあボクも姉さんの親友になろうかな!」
「いや、それは僕にしか無理だと思う」
特に自慢するでもなく、呆れた声で十四松に向かって浅い溜息をチョロ松が吐く。