第45章 第二回 松会議
ある日の深夜、緊張した面持ちの6人は、現在松野家二階の布団の上に丸くなって集まっていた。
長男おそ松が声を出すと、またしても6人の間に数秒の沈黙が流れる。
皆同じ布団の中心を、見つめている。
その沈黙から、前回同様今から話す内容がどんなに重要なものか、各々想像できた。
「皆、準備はいいか?」
腕組みをしておそ松が口を開き、胡坐体制のまま他の5人の顔を見回す。
仰々しい雰囲気に、兄弟たちも皆コクリと頷き固唾を飲む。
なんというデジャブであろうか。
「では始めよう・・・第※回松野家六つ子会議を」
この流れ、前の旅行の時とほぼ一緒じゃんとチョロ松は思ったが敢えて口に出す事なくその場は押し黙る。
何故かと言うと、今日のお題は全員に深く関係があり、必ず全員で話さなければならない大事な内容だったからだ。
「では今日のお題を言うぞぉ~」
「題して・・・・・・・・・ナス子に告白するのは誰なのか」
言ったおそ松が続けて口を開きニヤリと笑う。
「って言っても、俺が一番だよなぁ!? だって俺が最初に言った訳だしぃ?長男だし! ていうかアイツも絶対に俺の事好きに決まってるから!!」
「はぁ? その自信どっから来るんだよ・・・あと、先に告白とか後に告白とかそういうの関係ないよね? 別に雰囲気さえあれば誰にだってチャンスはある訳だし」
「チョロ松兄さん、ナス子姉に告白するの?」
トド松におずおずと聞かれチョロ松は口を更にへの字にする。
「べ、別に僕はアイツの事そんな風に見てる訳じゃ」
トド松は呆れた目をすると、無言でスマホを差し出し待ち受けのカピバラをチョロ松の前に見せた。
「!?・・・」
「いや、カピバラ見て股間押えて赤くなるとか相当末期だから。完全にナス子姉の事そういう目で見てるよね? じゃなかったらもうカピバラの事愛しちゃってるよね?」
「チョロ松兄さんはカピバラが好きだったんだね、スッゲーね!!」
先程までの神妙な空気は何処へやら。
あっという間にいつものテンションに戻る兄弟達を横目に、一松が静かに口を開く。