第41章 とにかくキスがしたい十四松　十四松side

「うん！　あとさ、胸がギュってなったよ！！」

「は･･････は？」

　これは姉さんが言う好きとボクが言う好きは違うって事じゃないかなって思うんだよね。
　だってさっき姉さんが自分で言った事でしょ？

「ボク姉さんの事スッゲエ好き！！」

「あー、あー、あー･･･そういう直球やめてくれる？　心臓に悪いから！　姉さんの事好きって気持ちは嬉しいし、わかってるよ！」

　あれー？　伝わってない？？
　でもボクも実はこれがどんな状況で、このボクのしたい事や気持ちはなんなのかはわかってないんだよね。
　好きだしキスしたいし触りたいし、触ってもらって嬉しいし、胸がギュってなった、他にもキスがしたい理由って何か必要なのかな？

「じゃあトト子ちゃんとは？」

「はい！　したいであります！！」

「じゃあ、やっぱ違うんだよ。十四松が今私に言ってる好きはそういう好きじゃないんだよ、ね？」

「えー？　でも、父さんだって母さんと結婚してるけど、テレビ見て、綺麗な人が映るとキスしたいな～抱いてみたいな～って言ってるよー？　父さんは母さんのこと好きじゃないってこと？」

「うぐっ･･･それはまた違って･･･っ･･･ぬうう･･･男とはかくなるものか･･･っ」

　姉さんはスッカリ頭を抱えて考えこんじゃった。
　ボクも、今まで色んなことで一生懸命考えたことあるけど、考えれば考えるほど益々わからなくなることってあるよねぇ。

「ねぇ、姉さん？　この問題はとっても深くて難しくって、今ここで二人でず～っと考えても、答えは絶対に出ないと思うんだよね、ボク」

「そうだね･･････これは難しい問題だね･･･」

　orzって感じでゲンネリした顔をしている姉さんの横に、寝転がってみる。
　ぼくは仰向けになりながら、天井を見つめたまま姉さんの手を握った。
　一瞬びくっとした反応をした姉さんだけど、振り払われたりはしなかった。