第32章 【R18】危険な香りの温泉旅行 危険すぎる温泉旅行
「いやいや、やっぱりここは長男の俺からでしょお?」
「おい、会話がループしてるよ、何回目だよお前のその台詞!」
「ナス子に酒飲ますの成功したのは俺の功績だよね……俺からでしょ」
「てか一松兄さん、いつもそんなに積極的だっけ?ビックリなんだけど」
「タッティ!!!」
「落ち着くんだ十四まぁつ……ステイ、ステイだ」
頭上から聞こえてくる声に、ナス子はゆっくりと目を開ける。
おぼろげな視界に、よく似た顔が六つ。
何か全員で喋っているようだが、頭が朦朧としていてその内容まではわからなかった。
頭が熱い、顔が熱い、体が熱い。
ふわふわと宙に浮くかのような感覚は、悪くない。
「…………あれぇ?みんな、どうしたの……?」
声を出して、自分の呂律がまったく回っていないことに少し驚いたが、すぐに気にならなくなる。
「ここ…………あ~、布団の上だぁ~やったぁ~!ふかふか~!」
自分が綺麗に敷かれた布団の上に寝ていることに気付くと、何故か身体の横に丸まっていた掛け布団をぎゅっと抱きしめて足まで絡める。
「布団しあわせ~~好きだわぁ、癒されるわぁ~、寝るのだぁいすきぃ~~ぐふっ、ぬふふふふ」
布団に顔を埋め、奇妙な笑い声を上げ始める。
とにかく今、ナス子は幸せらしい。
急な強いアルコールの所為か、ナス子は完全に出来上がってしまっていた。
「……おい、どうするんだ?完全に酔っ払っているぞ……ぐふっ、とか言ってるんだが……」
「まぁチンパンジーの仲間だからそういう笑い方になっちゃうこともあるんじゃないの?」
「幸せそうだし・・・別にいいんじゃない?このままで……」