第29章 危険な香りの温泉旅行 たまにはお姉ちゃん?
チョロ松も眠ってしまい、トド松に同じく起こさないように膝から頭をそっと下ろす。
あらら、凄い!もう3人も寝かしつけてしまった。
自分は保育士にでもなれるのではないだろうかなどとつい笑ってしまいそうになる。
「一松~?」
次の順番は一松だったが、部屋の隅に体育座りをして既に眠そうな目をしていた。
というよりもコクリコクリと放っておくともう寝落ちするのではないだろうか・・・。
しかしどうやら順番をちゃんと待っていたようで、眠たそうに眼を擦りながらナス子の場所へと向かうと、これもまた珍しく何の否定も皮肉もなしにポスリとナス子の膝に頭を乗せた。
「……頭」
「はいはい、撫でろって事ね」
言われるがままに一松を撫でると気持ちよさそうに目を瞑り口元が上がっていて幸せそうだ。
ドSだったりドMだったり、スイッチが入ると何をしてくるのかわからない危険人物も睡魔には適わないらしい。
「…………疲れた」
「うん、ありがとう一松。一松も怖かったよね、必死に探してくれた事、感謝してるよ」
「ホント、は……クソ松じゃなくて……俺が探しに行けばよか…………」
睡魔も限界だったのだろう、一生懸命寝るのを我慢して膝枕を待っていた姿にくわえこの台詞だ。
弟として可愛くない訳がない。
だが退かす。
「これで4人眠ったんだけど?!私人を寝かしつける魔法でも身に着けた!?」
段々楽しくなってきたナス子は次の相手に目配せする。