第28章 【微エロ】 危険な香りの温泉旅行 十四松は神出鬼没 十四松
お客様に怪我を負わせてしまったということで、入園料を返金、さらに次回無料で入れる特別招待券を人数分もらい、怪我の功名ではないが、得をした七人。
猿騒動のせいで、帰りの車の中は皆グッタリである。
運転は一松が引き受け、今度は説教番長であるチョロ松が助手席へと座った。
「なんで俺の時だけ隣がチョロ松・・・」
「仕方ないだろ?車のナビは使えないし、ナス子のスマホもトド松のスマホも充電切れたって言うから、僕がナビするしかないでしょ」
「別に俺は方向音痴じゃないから旅館まで普通に運転できるけど?」
「それにほら、後ろ見てみろって」
後ろを見ると、既に疲れ切った5人は眠ってしまっている。
後ろの席の3人はおそ松、ナス子、カラ松と真ん中のナス子の肩にもたれかかっているように寝ていた。
そしてその後ろはトド松と十四松、二人も壁にもたれかかると爆睡している。
広い園内を走り回ればやはり体力も消耗されるし、猿との事で緊張が解かれたのもありやっと安心しているのだろう。
「・・・チッ!!やっぱクソ松に運転させれば良かった」
「長男と次男は後で殺せばいいから今は我慢して」
「悔しくないの?」
「そ、そりゃ悔しいけど・・・でも今回は仕方ないよね。カラ松が最初にナス子の所に行ったんだし、おそ松兄さんも頑張った訳だからさ、今日くらいは大目に見てやってもいいんじゃない?殺すけどさ」
「ふ~ん、案外余裕なんだね?」
「余裕っていうか、僕らはただの幼馴染だろ?そんな気にする事・・・」
淡々とチョロ松と話す一松だが、そう言うチョロ松の表情は言葉とは裏腹に何か他に含みを持っているかのように感じる。
「自覚がないのも、大変だよね」
「何言ってんの?お前」
「・・・べつに」
そして一行は旅館へ帰って行った。
一松、顔に似合わず安全運転である。