第26章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました 一松
「ちょっと待って!!自分であんな事とか言ってるって事は、悪い事したってわかってるんでしょー?!」
「・・・・・ナス子に断りなくしたのは悪いと思ってるけど・・・」
「けど、なに?」
「したこと自体は・・・別に悪いって思ってないんだよね。だからまた隙があったらしちゃうかもね」
「はぁ?!それって反省してないってことー?!」
「ヒヒっ、反省?聞きなれない言葉だよね・・・」
例の一件から、ナス子と一松がこのように直接的に触れ合う事がとても久しぶりに感じる。
二人もそれを思い出したのか、会話をしながら一瞬お互いの動きが止まるが・・・、ナス子が今度は一松の頭をガシガシと両手を使い乱暴に撫で始める。
その瞬間一松は視線を落とし目を合わせないようにしながら俯いた。
そして、ボソリと一言聞こえるか聞こえないかの声で呟く。
「でも・・・まぁ・・・・・・・・・ごめん」
「え?なに?声ちっちゃくて聞こえなかった。もっかい言って?」
「・・・・・・・・絶対に言わない。耳遠いんじゃないの?もうそんな歳だっけ?ナス子姉さんは・・・」
今度は外していた視線をナス子と合わせ一松がニヤリと笑った。
一松の表情が、いつもの悪い顔ではなく嬉しそうに見えたナス子だったが、一松の呟きももう一度聞けないまま、とうとう痺れを切らしたおそ松が喚き始める。
先に外に出て行った兄弟達に続き、渋々と一松とナス子も外に出る事にしたのだが、この場所に来た事によって以前のように触れ合える関係に戻れた事に、少し喜びを感じる二人であった。