第25章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました
中々ハードな道のりだったぜぇ~。
「すまん、俺が道に迷ったばかりに・・・」
車から降りるとカラ松が自分の膝を抱えて地面に屈んで落ち込んでいる。
そんなカラ松を相手にナス子は肩にポンを手を置くと、ニコリと笑みを向ける。
「大丈夫だよ、カラ松。元気出して?」
「ナス子・・・」
「私なんて・・・ほら、地図も読めないから!」
「それフォローになってないからね?!残念な事言ってるだけだから!」
だがしかし人に優しくされ慣れていないカラ松はナス子の励ましが素直に嬉しく、一瞬花を咲かせたような笑顔になるとスクっと立ち上がりサングラスをクイっと上げた。
「やはりナス子は俺のミューズだな・・・フッ、キマった」
「だから何でさっきから私はハンドソープ扱いなの?」
「え」
「違うよナス子姉、ミューズは女神って意味だよ!学校で習わなかったのー?!いや、大人なら普通にわかるよね?!一般常識だよ?これっ」
一言余計と思われる言葉と共に、やっと正解を聞きナス子はカラ松の言葉を理解する。
女神と言われるとちょっと気恥ずかしさもあるが、先ほどのドス黒いものが浄化された気分になると、上機嫌になりナス子はカラ松の腕を引っ張った。
「うしっ、行くぞカラまーつ!今日はいっぱい遊ぶぞ~!!」
「あ、あぁ、そうだな!アニマル達の俺を呼ぶ声がここからでも聞こえるようだぜぇ.......安心しろ、俺が来た!!俺を見てリラックスするがいいさ!はーっはっはっはっ」
突然のナス子の行動に驚いたカラ松だったが、悪い気分ではない、寧ろいい気分だ。
同じく優しくされたらすぐ調子に乗るナス子、二人並ぶとチョロイコンビである。
カラ松の腕を引っ張りながら歩くナス子と、それにぞろぞろと続く5人。
後ろからついて来ている兄弟達はそんな二人を見ながら、少し似てる部分があるのではと感じたのだった。
特に、単純で馬鹿な所が。