第25章 危険な香りの温泉旅行 動物園に行きました
Pi-Pi-Pi-
スマホのアラームの音がすると、ナス子はゆっくりと目を開ける。
まだ意識が覚醒せずボーっと布団の中で動かない。
昨日、六つ子が寝着いてからの事。
体が潮でベタベタして寝付けないナス子は、皆を起こさないようにしながら温泉に入りに行った。勿論女専用風呂。
浴衣もしっかり交換してもらった。
部屋に戻る時間が遅くなった為、布団に戻ると再度眠りについた。
そんな朝だ。
アラームが鳴り止み、もう一度ナス子が寝なおそうとすると、フカフカの布団の中で何か普段と違う体温を感じた。
ああ、これはミケ子かな?と思い抱きしめ返すと、それは思っていた愛すべき子猫とは違い、自分よりも大きな体を感じる。
何事かと驚き目をパッチリあけ目前を寝ぼけたまま見ると、目の前には誰かの肌があった。
これはきっと夢だと思い、寝がえりを打とうとするが何故か体が動かない。
気づくと、正面・後ろから体温を感じ、さすがのナス子も目を覚ます。
「・・・・・・」
抱きしめた体の人物を見上げると、そこには見知った顔が幸せそうに眠っている。
「十四松?」
そして今度はまだ眠そうにムニャムニャしているよく知る声が耳元から聞こえる。
「ん、ナス子姉さんもう起きたの~?これは今日は天気荒れるかもねぇ」
「トド松?」
そう、ナス子は今正面を十四松にホールドされ、なおかつ背後すらもトド松にホールドされている。
ゲームとか漫画でよく見るやつである