第24章 危険な香りの温泉旅行 夜の海 チョロ松
隅に寄せていた机と椅子を並べ直すと、夕食が部屋に運ばれてくる。
基本夕食は部屋で、朝はバイキングらしい。
目の前に並べられたのは豪華な刺身盛り、炊き込みご飯、茶わん蒸し、一人一人の前にシャブシャブ鍋があったりと・・・とにかく食欲をそそるものばかりである。
「おー、スッゲー豪華!」
先ほど拗ねていたおそ松の機嫌はどこへやら、並ぶ料理に手を合わせると目をキラキラと輝かせている。
それを見たナス子は、こんなおそ松なら可愛いのにと思ったが、調子に乗るので絶対に口には出さなかった。
「おお、ご丁寧な事に日本酒まであるじゃないか、セラヴィー!!」
普通酒は別料金なのだが・・・、 これは誰かが頼んだに違いない。
「いい匂い!いい匂い!!」
「こんなに豪華なご飯を食べるのもどのくらいぶりだろうね、フフフ~嬉しすぎる~」
「みんなまだ食べないでね~、ぼくイソスタに載せるから!」
さっきの喧嘩の事なども忘れ、皆それぞれ嬉しそうな顔をしている。
その横でトド松がパシャリと料理を写真に収めていた。
さすがは女子力の塊、トッティである。
「・・・俺は今こんなに幸せで大丈夫か・・・?まさか後に大きな不幸がやって来るんじゃ、い、戒めなきゃ」
「ちょぉお、一松!何机にデコ打ち付けてんの?!」
「いや、世の中の幸福と不幸と言うのはね・・・ちゃんとしたバランスで成り立っててーー」
「兄さん戒めー?ボクもやる!!!」
今度は十四松が同じくデコを机に打ち付ける。
一体なんだというのだ、戒めてどうする・・・。
今ある幸福に感謝しつつ楽しめばいいものを、とナス子は思うが、一松の性格を考えるとそれはそれで仕方のない行動なのかもしれないと思った。