第20章 危険な香りの温泉旅行 松会議
「行ったか?十四松」
おそ松はナス子が風呂へと向かった足音を十四松に探らせる。
「うん!足音遠くに行っちゃったよー!匂いもナッシング!」
「うしっ!んじゃ、はじめますかーっと」
緊張した面持ちの5人は、十四松の言葉に安堵の表情を浮かべた。
そして、6人の間に数秒の沈黙が流れる・・・。
皆同じ床の真ん中を、一点に見ていた。
その沈黙から、今から離す内容がどんなに重要な事かと察しがつく。
「皆、準備はいいか?」
腕組みをして長男おそ松が口を開く。
胡坐体制のまま他の5人の顔を見回した。
もの静かな空気に5人もコクリと頷き返事をする。
「では始めよう、第※回松野家六つ子会議を」
真面目な物言いに兄弟達も息を飲む。
もう何年この変で意味のない会議を繰り返しているだろうとチョロ松は突っ込みたかったが、ここはこの場の為に押し黙った。
「では今日のお題を言うぞぉ~」
「題して・・・・・・・・・ナス子は処女なのか!!」
「「「「「!!!!!!?」」」」」
おそ松の言葉に口を開く事なく兄弟全員は目を見開く。
いつもの下らない童貞どーのこーのの内容が口から出ると思っていた兄弟達も驚きの表情である。
「ちなみに、俺は処女だと思ってる!」
おそ松の発言に、すかさずチョロ松が突っ込みを上げる。
「いや、ないでしょっ。いくら残念なナス子と言えど、もういい年だよ?さすがに一人二人くらい経験があってもおかしくないでしょ・・・!」
「うわぁー、やめてよチョロ松兄さん!生々しくて聞いてられないよ!っていうか想像しちゃうんだけど…っ、あー聞きたくない!なにこの会議、最低なんだけどっ」
おそ松とチョロ松の会話に参加したのはトッティ事トド松だ。
相手が幼馴染で気の置けない仲だからこそ余計に想像したくないのかもしれない。