第16章 ヤケクソ療法? カラ松 チョロ松 ※多少シリアスが含まれます
「テメェなに人様俺様の前でディープキスとかしてくれちゃってんの?!いくら相手があのナス子でも目の前であんなことされたら童貞はどうなっちゃうかわかるだろ?!わかるよな?!お前だって童貞だもんな!!なんであんなことした?!馬鹿じゃん?!やっぱ馬鹿だなお前も!!」
「ひえ・・・・す、すまんチョロ松・・・それに至っては俺が本当に悪か」
「・・・・・・・どうだったんだよ・・・」
「え?」
「ナス子とのディープキスはどうだったかって聞いてんだよいちいち聞き返すんじゃねぇよ!!あ゛ァ?!!?」
カラ松の胸倉を掴みオラつきにオラついているチョロ松がそう質問すると、口から正直な感想が零れ出る。
「き、気持ちよかったです!!」
「気持ちよかったのかよ?!!どんなふうにだ?!ゴルァ!!?」
「え━━━━━━?!それは答えるのが難しいぞブラザー!!?」
「俺が必死に我慢してナス子を納得させるのどんだけ大変だったかわかるか?心の中でずっ・・・っと般若心経唱えてたからな!キスするのだってメチャクチャ緊張してたんだからな実は!!何でもないように振舞うのスッゲーマジで大変だったんだからな!!!」
そう、今日のMVPは間違いなくこのチョロ松だ。
彼だけが終始理性を保ち、本来の目的であったナス子の不安となった原因を突き止め、取り除き、半ば強引にではあったが、気持ちを切り替えさせることに成功したのである。
普段は六つ子の中で一番シコっているであろうこの三男は、六つ子の中で一番のしっかり者で、面倒見が良い男なのだ。
それを知っているからこそ、ナス子もチョロ松のことを一番信用して頼っている。
チョロ松も、ナス子にそう思われていることはわかっているし、その信頼は裏切りたくないという思いが強いからこそ出来た行動だった。
「ア゛━━━━━━!!もう早く帰ってシコろう!!絶対シコるわ!!」
ドスドスと足早にカラ松を追い越し、あっという間に小さくなっていく背中を唖然と見ながら、カラ松は思った。
「エクセレント・・・・・・」