第108章 最終回【逆ハー】ネヴァーエンディングストーリー
食卓を囲めば、六人の視線は勿論の事ナス子に行ってしまう訳だが、一先ず大人しく夕飯を口に詰め込んでいく。
一方のナス子はというと、先程まで隣の部屋で何やら男の事情とのことで騒いでいた六つ子達の打って変わって静かな様子に若干の不信感を抱かずにはいられないのだが、男の事情と言い切られてしまった以上何も聞けないなぁ、と、目線を逸らしている。
そこに新たなおかずをもってきてくれる松代が、いつもと様子の違う空気を感じわざと口を開いた。
「はい、今日はエビフライとギョーザね!どうしちゃったの、ニート達も、ナス子ちゃんも静かになっちゃって喧嘩でもしたの?」
「え!いや、喧嘩は特にしてないんですけど、ちょっとコイツらおかしくて」
「何かわからないけどアンタ達、あんまりナス子ちゃんを困らせるんじゃないわよ?愛想尽かして出て行っちゃったらどうするの?」
「あはは、もう今更ですから。慣れっこですよ松代さん」
「ふふ、本当にうちはいいお嫁さん候補がいてくれて安心ねぇ。後は孫の顔さえ見れさえすれば」
「「「「「「ぶ━━━━━━━━━━っ」」」」」」
「ぎゃあ!ちょっとアンタ達私の方向いてご飯飛ばさないでよ汚い!!6人分のご飯粒とか罰ゲーム?!罰ゲームなの?!ちょ、顔米粒だらけなんですけど?!」
「急に何やってるのかしらね?ナス子ちゃん、おかわりなら沢山作ったから言ってちょうだいね」
そう話すと、松代もキッチンへと入って行く。
いや、今は正直おかわりよりもタオルとか何とかの方が欲しいです。
そんな言葉も胸中もお構い無し。六つ子にとっては、いつ何が引き金になるかわからない今、全てが起爆剤のように思えるのだ。
ナス子に気を遣う六つ子と、その気遣いが違和感に感じ、どう接すればいいのかわからないナス子。
今日は、あまり居心地が宜しくない。