第108章 最終回【逆ハー】ネヴァーエンディングストーリー
パチンコ新台入荷の当日、早朝から店に並び期待に胸を膨らませた赤い松と緑の松が意気消沈して店から出てくるのは早かった。
「あー……負けたぁ~!!全財産とられたよぉ?!」
「はぁ、一緒に行く相手が悪いのかな。最近負け続きだしツいてないなぁ」
帰り際、わずかに残った小銭で自動販売機のジュースを買い、肩を落としたまま2人は同時に溜息をつく。
目に光はなく、まるで死んだ魚のようだ。
そんな濁った目のチョロ松の視界に、よく知った人物の姿が目に入る。
「ん?ねぇ、あれってナス子じゃない?」
「ナス子? まっさかー、こんな時間にナス子が起きてるなんてそんな…………ホントだ!!怖━━━━っ!!」
既にお分かりかと思うが、説明しよう。
ナス子とは、六つ子の年上の幼馴染であり恋人関係にして現在松野家にて同棲中の人物である。
確か今日は休みの日だと二人も把握していたハズだが、そんな休みの日に面倒臭がり屋のナス子が早起きして外出などあり得る訳がないと驚く。
きっと見間違いだろうと目を疑い、出てきた建物と人物を合わせてみると、今驚いた事以上に驚愕する事実を目の当たりにしてしまう。
「え……あそこって……?」
「なんでナス子があんな所から……ま、まさか」
遠ざかって行くナス子の姿には目もくれず、二人は顔を見合わせた。
・
・
・